双極症によるうつ症状におよそ10年間苦しんだ看護師の男性がいます。
生涯を通じて5人に1人がかかるともいわれている「こころの病気」。自身の経験を生かして、同じようにうつ症状に苦しむ人たちを助けたいと、相談室を立ち上げました。
当事者だからこそ分かる、患者が本当に必要としている支援提供を目指します。
島根県浜田市出身の安井裕貴さん(42)は、人の役に立ちたいとの思いから、30歳の時に看護師に転職。その3年後、さらにステップアップしようと、高度な技術が求められる救命救急センターで働くことになりました。しかし、希望に満ちていた安井さんに待っていたのは、双極症によるうつ症状でした。
看護師・うつ専門カウンセラー 安井裕貴さん
「夜勤があることによる不規則な生活やストレスなどもあって、はじめは、疲れが取れない、眠れない、頭も体も思うように動かないといった症状がありました」
新しい職場で働き始めた直後に感じた体の違和感。
ただ、そのときは「気合いが足りない」「やる気が足りない」と周りも安井さん自身も思っていました。
しかし、体調は悪化の一途。仕事熱心な性格から、頑張りすぎてエネルギー切れとなり、倒れてしまうことなどを繰り返す中で、医師からは双極症によるうつ症状だと診断されました。