「社会を明るくする運動」に長年貢献「自分にできることなら」

更生保護施設への訪問は、法務省が主唱する「社会を明るくする運動」の取り組みの一環だった。この運動は戦後すぐ、焼け野原となった東京・銀座の数寄屋橋前で路上生活を送る戦災孤児たちを支援するため、地元商店街の人たちが始めたボランティア活動が始まりだという。

谷村さんが運動に参加したのは、還暦を迎えた2008年。運動の広報ポスターに起用されたことがきっかけだ。「罪を犯したり、非行に走ったりした人の立ち直りを支える家庭や地域をつくろう」という運動の趣旨に共感し、「自分にできることがあればやりたい」と、施設などへの訪問を引き受けたという。

2010年には、運動の応援ソング「咲きほこる花のように」を作詞作曲。谷村さんは、法務省で開かれるイベントで何度も披露している。

歌には、こんな歌詞がある。

「君と逢えたから 僕はここにいて こうして生きている アリガトウ アリガトウ!!」(「咲きほこる花のように」)

罪を犯しても、非行に走っても、見捨てずに支えてくれる人が必ずいる。そんな思いが、歌詞には込められていた。

谷村さんはなぜ、この取り組みを続けるのか。理由を知りたくて、取材を続けた。