“伝える”ことへの自然体でいる姿勢

池田愛さん:
「こんな風に考えているんだと思ってびっくりすることはあるけれど、娘が自分の出自や生みのお母さんについて、あんまり話してはいけないという空気を感じないように、いつでも話題にしてけるようにしておきたいなと思っていますね。 養子縁組家庭で育った方が大人になってから書いた手記などを見聞きすると、『家の中で生みの母のことに触れることはタブーのような、言ってはいけない空気があったから話せなかった』という話があったので、それは気を付けようかなというのはありました。子どもがすごく小さいときから伝えるというのは親の私たち自身が話題にすることに慣れる、話せるプロセスにもなるし、子どもがすごく小さい時って多少こっちがしどろもどろだったりしても、多分忘れちゃうことも多いから、親にとっての“練習”にもなると思うんです」

“伝える”ことへの自然体でいる姿勢は、家庭内だけでなく近隣の人や娘さんの友達に対しても同じです。

池田愛さん:
「子育てを始めた当初から隠すというのは違うなと思っていて、もし話題になったら答えるという態度でいたんですけれど、途中から面倒くさくなって(笑)。子どもを通じてママ友ができるようになると、『この人に言ったかな?この人にどのタイミングで言おう、もう少し親しくなってからかな』とか考えていると、こういう悩みを娘が持ったまま成長するのは、もったいないな、と思ったんです。他に悩むことや考えることがたくさんある。 オープンにしちゃえばそこにエネルギーを使う必要がないから、“そうしよう”と思って。 面倒くさがり屋なところから最初は入ったんです。そのままでも良かったのかもしれないけれど、私は“オープンにするかしないかを悩まなくて良い社会になればいいな”って。養子縁組のことって周りからは話題にしにくい。偏見がない人でも触れちゃいけないんじゃないかとか気を遣ってみてみぬふりをする。気が付かないふりをするというのもあるので、こっちから積極的に発信をしてもいいのかなっていう風にだんだん変わってきた感じです」

池田愛さん

つい最近は小学校の個人面談でこんなやりとりがあったそう。

池田愛さん:
「担任の先生から、『娘さんは自分の生い立ちの話を開けっ広げに話すけど大丈夫ですか?初めて知る子どもたちの中では、戸惑っている子もいたようでした』というお話がありました。全然OKです。わが家に限らず、色々な家族の形があることは、子どもたちにも知ってもらいたいですとお返事しました。ああそういえば小学校の同級生にいたなー、なんて形で記憶に残ってくれるといいなと思います」

これからも自然体で、向き合い悩みながら一緒に過ごしていく。家族のカタチです。