「特別養子縁組」制度は、子どもを望む夫婦が事情を抱えた親の元から子どもを迎え入れ我が子として育てていくものです。普通養子縁組と異なるのは、裁判所での審理を経て「養子」ではなく戸籍上も「実の子ども」となる点です。この制度で実際に赤ちゃんを迎え入れた仙台市の女性を取材しました。子育てをしていく中で女性が感じた社会に望むことは。
娘にとってかけがえのない“母親”
「夕方、抱っこをしていたらぐずる。お母さんを探してキョロキョロする。顔を見たら安心し抱っこされたら甘えていた。『お母さんが大好き』なのではなく『お母さんじゃなきゃだめ』みたい。これまではこちらの気持ちとして“親”だったけれど、娘にとってかけがえのない“母親”として認められているみたい。とても感動した。」(父:祥さん記述)

仙台市内に住む池田愛さんは、夫の祥さんと共に小学生の長女を育てています。愛さんが娘さんと出会ったのは、38歳の時。娘さんは生後5日でした。

池田愛さん:
「当時私たちは東京在住で、特別養子縁組で娘を迎え入れる前に不妊治療を何年かしていました。特別養子縁組に切り替えようとなった時に児童相談所と民間のあっせん機関があり、民間の団体は生みのお母さんから相談を受けてそれを橋渡しするような形で行うので、赤ちゃんが生まれたらすぐに迎えるという場合が多いと知りました。団体によって求める両親像も違っていて、夫婦のどちらかが仕事をやめて育児に専念してほしいとか年齢制限の条件を見ていた中で、一番私たちの方針に合いそうなところに申し込んだという感じでした」