「調査報告書」の保管は5年間

仕事仲間の理解もあり、育休を取りながらお子さんとの日々を過ごす中、半年間、毎日記録していた育児記録。この記録も、特別養子縁組の成立に欠かせない物の一つです。

特別養子縁組を前提として赤ちゃんを迎え入れた家庭は、半年間の試験養育期間があります。家庭裁判所の審判の前に半年間試験養育をして、その間、家庭裁判所の訪問を定期的に受ける必要があるのです。審判が下りればその審判書をもって区役所に行き、特別養子縁組の届けを出す手続きを行います。

池田愛さん:
「調査員の方は受け入れる家庭の調査もするし、生みのお母さんの調査もします。どういう経緯で生むことになったか、特別養子縁組に出す意思が確実かなどを確認するのですが、そういうことも記入されているものが調査報告書。私たちが生みのお母さんについて知っている情報はこれのみ。だからすごく大事で、いずれ娘が成人になったら渡そうと思っているんですけれど…。実は調査報告書を入手できるということを知らない(特別養子縁組でお子さんを育てている)親御さんが時々いて。裁判記録なので5年間しか保存されないらしく、気が付いた時には入手できなかったという方の話も聞きました」

裁判所に申請をしなければ手にすることができない「調査報告書」。子どもが大きくなった時、自分の出自を知るためにも大切な、生みのお母さんについての情報ですが、詳細な記録、調査報告書を含む裁判記録の保管は5年間と定められているのです。

池田愛さん:
「生みのお母さんのことはできるだけ知りたくないという養親さんもいるそうなんです。けれど、親だけのためじゃなくて子どものための情報でもある。養親は読まなくてもいいから、子どもがいつか知りたくなった時のために持っていてほしいなと思います」