〇ピノキオ「星に願いを」
ここからは、ディズニー映画が生み出した名曲をいくつか紹介します。まずは「星に願いを」。これは1940年の映画『ピノキオ』の主題歌ですね。戦前ですよ! 日本の映画で、戦前の作品の主題歌はぱっと思い浮かばないと思います。しかも映画を離れてクリスマスソングとしても定番化しています。その年のアカデミー賞の作曲賞、歌曲賞も受賞して、もう掛け値なしにスタンダードと言ってもいいと思います。
〇アラジン「ア・ホール・ニュー・ワールド」
続いては「ア・ホール・ニュー・ワールド」、『アラジン』の主題歌ですね。1980年代以降のディズニーの大躍進ぶりを象徴する90年代の名曲ですが、ピーポ・ブライソン&レジーナ・ベルのデュエットで、ビルボードのNo.1になっています。今日本でも、ヒットチャートの上位をアニメ映画やテレビアニメの主題歌が占めることは珍しくありません。
この曲に関していうと、われわれが一般的にイメージするアニメの主題歌である「子供たちが夢中になるものね」ではなく、「大人が聴く曲」ですよね。
〇ライオンキング「愛を感じて」
そしてポップスの世界で「ジャイアンツ」と呼ばれる大物アーティストたちも、ディズニーの呼びかけに応じていろんな名曲を提供しています。エルトン・ジョンさんの「愛を感じて」。『ライオンキング』の主題歌です。1994年、もう30年近く前です。これもアカデミー歌曲賞を受賞しています。
『ライオンキング』は映画史上最も観客動員数が多かったアニメ長編映画といわれています。この映画、手塚治虫の『ジャングル大帝』のパクリじゃないかと言われています。ディズニーって功罪あって、こういうダークな噂もずっとついて回るんですが、その圧倒的なエンタメ力で、世界中のいろんな童話や伝承されてきた物語をディズニー流儀で作り直してきました。
アダプテーションしてディズニー仕様に作り直すことで、それがグローバルな人気を獲得する、ということを繰り返していました。そして、仕上げに使われるのはいつも圧倒的な名曲。音楽って怖い気もするんですが、ただやっぱりこういう名曲を前に抗うのは相当難しいと思います。
僕も10年ぐらい前、ディズニーの企画のアルバムをプロデュースしました。「ディズニーやるんだけど、曲貸してくれないかな?」とか、「一緒に歌ってくれないかな」って、平井堅さんとか東方神起とかMay J.さんとか、いろんな人たちに声かけたんですけど、みんな引き受けてくれますね。
そこまでディズニーに思い入れがないアーティストでも、「ディズニーの仕事やると家族が喜ぶんです」みたいなことおっしゃる方もいました。日本でも矢沢永吉さんのようなビッグネームもディズニーの仕事やっていますね。
〇アナと雪の女王「Let It Go」
ディズニーの作品で、日本語で歌われたものとして近年最も評判になったのは「Let It Go」ではないでしょうか。松たか子さんは有名な梨園のご出身であるということから、ある人は「この曲を介してウォルト・ディズニーと日本の梨園、歌舞伎が繋がった歴史的な瞬間だ」と言いました。
古き伝統、新しき伝統、新しい革新。いろんなことを考えるヒントを与えてくれるのがディズニーの文化だと思います。人を幸せにしてくれる企業であり、一方でその裏にはいろんなドラマ、美しいだけではない過去もあったという、ディズニー自体に対しても意識を傾けてみるのもいいと思います。もちろんそうすることによって、エンターテイメントの価値が薄れることはないでしょう。














