菊田医師が目指したものとは

赤ちゃんが犠牲になる事件が後を絶たない中、子どもが「実の子」として幸せな家庭に入れる制度をつくることで、救われる命が増えると菊田医師は信じていました。

作家 石井光太さん:
「菊田昇という人が目指したのは特別養子縁組で、子どもを育てる先のことだと思う。単純に親にぽんと渡すのではなく、その子の未来をもっと社会全体で考えて守っていこうという信念の元、社会全体で子どもの未来をつくらないといけないよねということ」

長い議論の末、1987年に法改正が実現し、翌年から、実の親子関係を結べる特別養子縁組制度の運用が始まりました。この制度が、普通養子縁組と異なるのは、裁判所での審理を経て戸籍上も「実の親子」となる点です。子どもが生涯にわたり安定した家庭を得ることができるとして、今では国が普及に力を入れています。

ただ、当時の菊田医師に対しては、出生証明書の偽造により医業停止の行政処分が確定しました。