サッカーボールをグローブに?「俺の宝物だから」

(堤尚彦監督)
「これ(【画像⑦】参照)でキャッチボールしてたのですよ。サッカーボールを自分で潰して、グローブの代わりにして。ハサミ入れてね、なんか紐を通して工夫してグローブにしてたから」

さらには棒を削って作った【画像⑧】のようなバットも。
「この二つを見た時に、絶対野球を普及させなきゃいけないなと思ったんです」

「帰国するときに『これ頂戴ね、その代わり軟式用の日本のグローブあげるから』って言ったらものすごい喜んで『なんでそんなのくれるんだよ』って言うから、『いや、それは日本でも買える。これはもう買えないから、宝物だから』と言ったら、『こんなのゴミみたいなもんだよ』と言った」
「だけど『これは俺にとっては宝物だから』と言って最後もらって来たんですけど」
甲子園で勝ち 開発途上国へ送る野球道具がたくさん寄せられた!
野球をその国に本当に根付かせるためには、「その国の人自身が野球を教え」「野球道具も作る」のが理想。
ジンバブエの靴職人に頼んで、アフリカ大陸初となる【画像⑨】のようなグローブを完成させました。帰国後には、開発途上国に「中古の野球道具」を送る活動も始めました。倉庫には、全国から届いた野球道具が保管されています。

(ジャーナリスト 春川正明さん)
「このミットはまだまだ使えそうです。ヘルメットやバットもあります。甲子園に出場してから送られてくる野球道具も増えました」

スリランカ、ニカラグアなど、野球道具を受け取った国から届いた感謝の手紙がグラウンドに張り出されています。
2019年には、東京五輪アフリカ予選のジンバブエ代表監督も務めました。極めて異例の「高校野球監督」と「外国代表チーム監督」の二足の草鞋です。

「野球人口を増やしたい」国内への思いも
堤監督の想いは、海外のみならず野球人口が減り続けている日本の野球界の改革にも及んでいます。
ー歴史もあって、国民的人気もあった野球がここのところ、少年野球も高校もそうですけど、野球の人気がすごく下がっているし、プレイする子供たちも減ってるじゃないですか、なぜだと思いますか?
(堤尚彦監督)
「日本のプロ野球です」

ープロ野球のどういうところが原因になっているのですか?
(堤尚彦監督)
「1年間かけて日本一決定戦しかしないからですよ。他の競技は皆さん、世界を目指して頑張ってるわけですよね」
「幼稚園に普及しようとか、女子野球を盛んにしようとか、まあ色々されてますけど、それはそれで必要なんでしょうけど、そんなんじゃなくて、天井高くなってもう登れないような山にして『わあ、すげえな』と思って、子供って憧れると思うのですよ」