元幹部「根源的な理由は傲慢さにある」

そしてもう一人、最古参の信者である阿部正寿氏も取材に応じた。多くの自民党議員などを後押ししてきた教団の政治団体=国際勝共連合の事務総長などを歴任。1970年に開催された世界反共連盟の大会では、責任者も務めた人物だ。

解散命令請求を前に、ようやく重い口を開いた。

旧統一教会 元幹部 阿部正寿 氏(86)
「正直なことを言えば、私もいろいろと非難されると思いますけれども、(解散命令請求は)仕方ないと思います。結果的に社会にそれだけの混乱を与え、問題を起こしたということは事実ですから」

――教団がここまで追い込まれた。根源的な理由ってのはどこにあると?

「やっぱり根源的な理由は傲慢さにあると思います。韓鶴子氏が『日本の総理大臣を連れてこい』とか、あれは非常に傲慢だと思う。私は文書を送りましたよ。『やめてください、そういうことは』と。日本の中心は日本であって、韓国で韓国が韓国のためにやればいいんです」

教団の内部で今、盛んに宣伝されていることがある。「解散命令請求に法的根拠なし」という主張だ。

引き合いに出されているのが、かつて阿部氏が布教活動を任されていたイギリスであった出来事だ。1984年に教団の免税特権をはく奪すべきという裁判が起こされた。

統一協会が“家族を引き裂いている”という告発などが証拠とされたが、信ぴょう性が不十分であるなどの理由で中止となったのだ。

一方、日本での解散命令請求の動きについて、阿部氏は…

旧統一教会 元幹部 阿部氏
「宗教というものに対する日本の理解が、やはり浅いです。だからこういう結果(解散命令請求)になる。それも、最終的には私達の責任であると統一教会も感じるべき。本当の意味で、宗教活動に徹していなかったということが問われているんじゃないですかね」

その請求が、自民党の政権によって行われることについては…

「これは自民党も問題ですけれども、私たちのやり方も問題だったと思います。高い理想・理念を失ったからだと思います」

――2世信者の中には、教団に対して我々は被害者だと訴える人も決して少なくありません。

「そういう苦難は神が与えたものだから、その試練を超えて成長して日本を動かす団体になるのであって、それはね、甘えですよ、私からすれば。そういうものには屈しないというのが私の考えです。それも教育していかなきゃいけない。それは私たちが教育できなかったということを反省しなきゃいけない」