半世紀を超える「親泣かせ」の実態

40年以上にわたり、信者の脱会を支援する活動を続けるキリスト教会の和賀牧師。これまでに500人以上の脱会に関わり、信者らが手放した壺や仏像が部屋の片隅に鎮座している。

今でも全国約150の家族から相談が寄せられる。その大半が「信仰を捨てさせて、親子の絆を取り戻したい」という切実な願いだ。

信者の脱会を支援する 和賀真也 牧師
「40年経ちました、30年になりましたとか、そういう長期戦ですよ。親も終活しないといけないし、亡くなっていく人もいる。やっぱり(子どもが)目を覚まして、普通の親子関係に戻りたいと」

1960年代後半、教団の学生組織・原理研究会の勧誘で子どもが親と連絡を絶ってしまうなど社会問題となった「親泣かせの原理運動」。50年以上経った今も、子どもを取り戻せない人たちが数多くいるという。

和賀牧師
「信者一人一人の気持ちは、自分らが目指していることは正しい、地上天国実現のどこが悪いんだと。親が泣いているのは反対派とかマスコミの言い分に誘導されて、勝手に悩んでいるんだと。そういう親泣かせは続いているということになりますね」

古参信者が語る解散命令請求「生贄になるのは残念」

その「原理研究会」を創設した人物の一人が、教団の古参信者・大脇準一郎氏だ。

大脇氏が事務局長を務めていた教団の関連団体の学者グループは40年以上、政策提言を行っていた。

旧統一教会 元幹部 大脇準一郎氏
「中曾根先生に対して、感謝されるようなものを作ったんです。僕はいいことしたなと思いますよ」

自民党と新内閣への提言。大脇氏らのグループの文書は、中曽根元総理側によって国会図書館に寄託されていた。

その政策のひとつが、防衛費のGNP比1%枠の撤廃だ。提言の4年後に中曽根元総理が表明した。

旧統一教会 元幹部 大脇氏
「やっぱり国や世界をよくするのに、最後はやっぱり具体的に物を動かすのは政治の力です」

自民党の政権に力を与えてきたと自負する大脇氏は、解散命令請求に対し、悔しさを滲ませた。

旧統一教会 元幹部 大脇氏
「こういう形で統一教会が生贄になるっていうのは残念だし、本当に日本の将来にとっても残念なこと。教団そのものは終わったとしても、宗教団体として宗教としては残る、信仰としては。全然そんなことは動揺しないですよ」

――旧統一教会というのは献金のこともありましたし、そういった団体だということを認識はされているのですか。

「それはもう前からわかってたこと。こういう事件、安倍先生の事件が起こる前から教会の問題に胸を痛めてましたよ」