イスラエルによる地上侵攻が迫るガザ地区。イスラエル首相は強い言葉で侵攻を示唆しました。イスラエルで取材を続ける須賀川拓記者はガザ境界からわずか5キロ、“乳幼児を含む100人以上”がハマスの戦闘員に殺害された集落を取材しました。
イスラエル首相「怪物を根絶やしに」ガザは“人道危機”

須賀川拓記者:
私はガザ北部の境界から1~2キロほど離れた場所にいます。実際に住民の方たちが住んでる町で3キロぐらい離れた場所です。ここから黒煙は見えていないんですけれども、先ほどから大きな爆発音が何度も聞こえています。そして、私の頭上ではイスラエル軍のドローンがずっと飛び交っています。このガザ北部からは住民110万人が退避を迫られています。南部に退避したとしたとしても、生活するのは非常に困難なことがわかっています。

瓦礫の下にいたのは、まだ幼い男の子。すでに亡くなっているとみられます。
パレスチナ自治区・ガザでの死者は2750人に達しました。ロイター通信によれば、1000人以上ががれきの下で生き埋めになっているといいます。

ガザ住民
「ガザで何が起こっているか見てみろ。人々はみんな去って行く。道を見てみろ」
イスラエル軍はこれまで2回にわたり北部のガザ住民に南部へ退避するよう通告を行ってきました。住民110万人のうち約60万人が南部へ避難したとみられていますが、安全な場所に向かったということでは決してありません。

「(住民の)子どもたちの身体がバラバラになっているのを見た。状況は悪化するばかりで、食料も水も何もない。ここには何もない」
エジプトとの境界にあるラファの検問所には、多くの人が集まっていました。エジプトへ逃れようとしている人々です。

ガザ住民
「どこへ行っても砲撃、泣き叫ぶ声、血だまり。どうしたらいいのか分からない。検問所を開けてくれないと分かっているけど、ここまで来ました」
イスラエルは地上侵攻への構えを崩そうとはしません。ネタニヤフ首相は「挙国一致内閣」を初招集し、改めて侵攻を示唆しました。

イスラエル ネタニヤフ首相
「(兵士たちは)再び我々を殺そうとしている。血まみれの怪物を根絶やしにするため、いつでも行動する準備ができている」

イスラエルもガザを実効支配するイスラム組織「ハマス」からの攻撃を受け続け、これまでに約1400人が亡くなっています。
今回の衝突の始まりは、7日にハマスがイスラエルへ侵入し、奇襲を仕掛けたことがきっかけでした。

ガザ境界からわずか5キロの場所にある「ベエリ」。ハマスの戦闘員に襲われた集落です。
民家に入ると…

須賀川記者
「ベッドがひっくり返されている。どういうことかというと、隠れている人物がいないかを探すために部屋をめちゃくちゃにしたんだと思う」
そして、ハマスは家に火を放ち、シェルターに隠れていた住民が耐えきれず出てきたところを拉致したり殺害したりしたといいます。
この集落では乳幼児を含む住民100人以上が殺害されました。

イスラエル ネタニヤフ首相
「ハマスを壊すのは我々だ」
増幅する「憎しみ」の先。いるのはいつも罪のない“市民”です。
ガザ住民
「助けてくれる人も、後を追いかけてくれる人もいない。私たちはどうやって生きていけばいいの?教えて…私たちの人生すべて怖いよ」