15日にMGC(マラソン・グランドチャンピオンシップ)が東京・国立競技場を発着点とする42.195kmのコースで開催される。MGCは東京五輪前の2019年に始まった、上位2選手が翌年の五輪代表に決定する選考レース。以前のような複数の選考会から代表が選ばれるのでなく、一発勝負的な要素が強い。4年前がそうだったように、火花が散るような激しいレースが期待できる。
そのMGCに出場する男子有力選手の特徴を紹介していく。6人目はダークホースとして注目されている細谷恭平(28、黒崎播磨)。マラソン2回目で2時間06分35秒の日本歴代8位と躍進し、その後も福岡国際マラソンの日本人1位、ワールドマラソンメジャースのシカゴと東京への出場と、変化に富んだレース経験を積んでMGCに臨む。
■細谷恭平プロフィールと成績
1995年8月31日生まれ、岩瀬東中(茨城)→水城高(茨城)→中央学院大
【マラソン全成績(カッコ内は日本人順位)】
▼2020年3月8日
びわ湖120位 2時間28分47秒
▼2021年2月28日
びわ湖3位(3位) 2時間06分35秒
▼2021年12月5日
福岡国際2位(1位) 2時間08分16秒
▼2022年10月9日
シカゴ6位(1位) 2時間08分05秒
▼2023年3月5日
東京14位(5位) 2時間08分10秒
2分58秒ペースの福岡国際。暑さと向かい風の中で30km以降に強さ
細谷の直近3レースは2時間8分台が続いている。厚底シューズの登場でレベルが上がったため、2時間8分台では好記録とは言いにくくなっている。その期間が細谷にとって、飛躍前の雌伏の期間となっているのかもしれない。
それでも21年福岡国際の2時間08分16秒は日本人トップであり、2時間6分台だった前レースから成長が見られた。福岡国際のレース後に細谷は次のように話している。「1回目のびわ湖は(自身も準備段階で足首を痛め、気象も雨と)ひどいコンディションでした。2回目はコンディションの良いなかで(1km)3分00秒ペースを後ろの集団で作り、30km以降で追い上げました。今回は(高温プラス後半の向かい風と)コンディションが良くないなか、2分58秒ペースに挑んだのです。マラソンは条件の異なるレース1つ1つに対応しないといけませんし、対応の仕方で後半の体の反応が違ってくる」。
2回目のびわ湖は2分58秒の先頭集団につかず、終盤で追い上げたが日本記録(2時間04分56秒)で優勝した鈴木健吾(28、富士通)には1分39秒もの差をつけられた。
それに対し3回目の福岡国際は30km通過が1時間29分15秒で、2時間05分台中盤でフィニッシュできるペースだった。コメントにあるように高温と向かい風でペースダウンを強いられたが、40kmまでの10kmで、日本人2位の大塚祥平(29、九電工)を33秒引き離した。
このときの走りからMGCでも、細谷が万全の調子なら30km以降で勝負に出る力があると見られている。