イベント企画のきっかけは「名前も知らない男の子」

企画したのは、近くで農園を営んでいる入江槙子さんです。きっかけとなったのは、双子の妹が経営する自動車整備店での出来事でした。

(入江槙子さん)「野菜持ってきたよ~」

収穫した野菜を、頻繁に妹に届けに来る入江さん。

入江さんは、通学路沿いにあるこの店に下校中、立ち寄る子どもたちにも野菜をあげていました。その中に1人、気になる男の子がいたといいます。

(入江槙子さん・40)
「その男の子は、絶対野菜を持って帰らないんです、毎回。ナスの時もトマトの時も。家が厳しいのかなと思っていたんですけど...」

「よくよく『なんで持って帰らんの?』と聞いたら、『僕、キク科のアレルギーがあるから』と言った。キク科のアレルギーってナスも春菊も全部ダメじゃん」

さらに男の子から、「苦手な食べ物が多いから、今までお祭りに行ったことがない」と聞き、入江さんは立ち上がりました。

(入江槙子さん・40)
「僕はお祭り行けないし、みたいな感じで、その男の子はぼそっと悲しそうに言った。小学生にとってお祭りって一大イベントじゃないですか。浴衣着てとか…。それに行けないってかわいそう過ぎると思って、『おばちゃんやったろか』みたいな」

入江さんは自分たちで祭りを開こうと、すぐに妹に伝えました。躊躇しなかったのには理由があります。

(双子の妹 家江由子さん・40)
「2人とも、子どもに小麦アレルギーがあるから、ある程度の知識があるよねって」


(入江槙子さん・40)
「妹には半強制で…。『やるでしょ』っていう」

(双子の妹 家江由子さん・40)
「『手伝うよね?(圧)』っていう。『もちろんお姉さま』」