当時の法律基準を大きく上回った“処分方法”

熊本市では地下1メートルほどに“1295キロ分”が、その10倍の量の土壌・セメント・水と混ぜ、「コンクリートの塊」として埋められています。

宇土市でも熊本市と同様に埋められていて、その量は実に“2055キロ”に上るといいます。

しかし、当時の法律に書かれた処分方法を確認すると「1か所に埋設する量は原則として300kg以内」との記載が。

基準を大きく上回っている埋設量について林野庁の熊本森林管理署は、「当時の資料がなく、理由はわからない」としています。

この状況について、ダイオキシンの汚染問題に詳しい熊本学園大学の中地重晴(なかち しげはる)教授は、“管理体制の不備”を指摘します。

熊本学園大学 中地重晴 教授「どんな有害物を埋めたのかというのがわかるように、記録は保管をしておかないといけない」

国はこれまでに開いた検討会で「除草剤は周囲に拡散しておらず、住民生活に影響はない」と主張しています。

熊本森林管理署 中村雄二 次長「これまでずっと年2回と臨時の点検を行っていますけど、異常はなかったというところで、安定して存在している」

しかし近年、豪雨災害が多発。

芦北町では3年前の『7月豪雨』で、埋設地からわずか1キロの場所が崩落しました。

地元自治体や住民から除草剤の流出を不安視する声が増え、ようやく国は撤去へと動き出しました。

国が撤去へ動くも…

熊本学園大学 中地重晴 教授「簡単に流れ出すことはないと思いますけれども、水害被害は結構ありますから、流れ出さないとは言えないという意味では、危険性はあると思います」

撤去作業の方針を固めるため、そのモデル地区の一つに宇土市が選ばれました。

国は埋設物を掘り起こし、高熱での焼却を計画。今年度中にも着手したいとしていますが…。

現在、宇土市の埋設地では担当業者が決まらない事態に。

その理由について中地教授は「費用面の課題」を挙げます。

熊本学園大学 中地重晴教授「1か所あたりの(埋設)量は少ないので、有害物を扱うというリスク管理からすると、あまりにも少額の契約なので、もうからない」

技術が進歩した半面、自然災害が増加している現在、国はどう動くのか?
その判断が注目されます。