ロシアに拠点を置き、ロシア人向けに情報発信をしている最も著名な軍事ブログ「ルイバリ」。国防省の批判を度々行っていて、登録者数は120万人にのぼります。その「ルイバリ」の代表を務めるミハイル・ズヴィンチュク氏は、元ロシア軍特殊部隊の将校で、民間軍事会社ワグネルに所属しプリゴジン氏の下で働いた経歴の持ち主。そのズヴィンチュク氏は、今のウクライナの反転攻勢をどう見ているのか。ロシア側から見た戦況を聞きました。

ルイバリ代表 ミハイル・ズヴィンチュク氏
「夜中の2時にプリゴジンから電話がかかってきて、これまでやったことのない任務を任せた、というのです。やるしかないのです」
かつて民間軍事会社ワグネルに所属し、プリゴジン氏のもとで働いていたと語るのはロシアの軍事ブロガー「ルイバリ」の代表、ミハイル・ズヴィンチュク氏。

ルイバリ代表 ミハイル・ズヴィンチュク氏
「人には勧められない経験ですが、プリゴジンの任務を乗り越えれば、どんなチャレンジにも対処できる人間になれます。残酷でありながらも素晴らしい学習経験なのです」
飛行機事故で死亡したとされるプリゴジン氏ですが、生存している可能性があるのか、ズヴィンチュク氏に聞くと…

ルイバリ代表 ミハイル・ズヴィンチュク氏
「一瞬ですべてを遮断し、生きているとしたら彼らしい行動です。実際には分かりません。プリゴジンには数人の影武者がいて、偽の情報の証拠づくりに彼らを使っていました。2020年でしたっけ、ワグネルの飛行機が墜落したという事件がありましたが、それも偽の情報でした」

そんなズヴェンチュク氏にロシア軍の戦いぶりを聞くと…
ルイバリ代表 ミハイル・ズヴィンチュク氏
「当初、ロシア軍は、あらゆる脅威や敵の動きに適切に対処できませんでしたが、学習してできるようになりました。ロシアの防空システムと電子戦装置にとって驚きだったストームシャドウは、最初は7発中1発しか止められませんでしたが、最近は90~95%、撃墜することが出来るようになりました。ロシア軍は明らかに進化しています」
一方、ウクライナ軍の反転攻勢については…

ルイバリ代表 ミハイル・ズヴィンチュク氏
「ウクライナ軍の反転攻勢は不成功だと見ています。バフムトより広い領土を奪還しましたが、それは野原にすぎません。ロシア軍は特別軍事作戦の最初の1か月で広大な領土を制圧しましたが、ウクライナ軍はそのような成果を上げられていません」
ただ、警戒すべきウクライナ軍の動きがあると言います。
ルイバリ代表 ミハイル・ズヴィンチュク氏
「ウクライナ軍の目先の目標はトクマクだとは思っていません」

ズヴィンチュク氏は、ザポリージャ州の前線に展開していたウクライナ軍部隊が、ヘルソン州に移動していると指摘。ドニプロ川の渡河作戦と共にクリミア半島への上陸作戦も狙っていると見ています。
ルイバリ代表 ミハイル・ズヴィンチュク氏
「歴史の教科書に出てくるイギリスがよくやる上陸作戦で、6月か7月にイギリスで1200人の海軍歩兵の訓練が完了したと報じられていました。そこで習得したスキルを発揮しようとするでしょう。最悪のシナリオは、頻発するミサイル攻撃やドローン攻撃でロシアの防空システムを破壊してから自殺に近いような上陸作戦を試みることです。破壊工作グループが上陸します。兵士を運ぶ航空機や船舶をウクライナ軍は持っていないので、小規模のグループで上陸作戦を行うでしょう」