★そもそも大雨時の車の移動は危険を伴う

さらに牛山教授が指摘するのは、ハザードマップで危険な場所が指定されているかどうかの以前に、そもそも大雨の際に車で移動することの危険性です。

去年8月の大雨で広島県では、他にも車の移動中に災害に巻き込まれたケースがありました。広島市安佐北区の鈴張川沿いでは、陥没した道路に車が転落。乗っていた60代の女性が犠牲となっています。


同じようなケースは4年前の西日本豪雨でも相次ぎました。

牛山教授の調査では、2019年までの20年間に全国で起きた風水害で犠牲となった人は1373人。被災した場所は「屋外」と「屋内」の割合がほぼ半数ずつとなっています。


そして屋外で犠牲となった人のおよそ3分の1は「車内」で被災しているといいます。

近年、急速にハザードマップの精度が向上し、かなり細かく危険エリアが指定されるようになってきました。一方で、ハザードマップの重要性が強調されすぎることで、そこに載っている情報だけで判断してしまうケースも増えているようにも感じます。そもそも車で移動している時などは、どこが危険かを瞬時に確認することは非常に困難です。


ハザードマップにすべての情報が網羅されているわけではないこと、またそもそも大雨時にいつも通りの行動をすべきかどうか、あらためて考え直す必要があるのではないでしょうか。

(RCCウェザーセンター 気象予報士 岩永 哲)