ナディームがチョプラから初勝利なるか
男子やり投はエリア大会としては超豪華な戦いになった。今年8月の世界陸上ブダペスト金メダリストのN.チョプラ(24、インド)と、銀メダルのA.ナディーム(26、パキスタン)が対決する。2人の対決は意外と少ない。ナディームがダイヤモンドリーグなどに出場しないからだが、判明しているのは9試合だけ。その全てでチョプラが勝っている。直近の4試合の対決は以下の通り。
■18年アジア大会:1位・88m06―3位・80m75
■21年東京五輪:1位・87m58―5位・84m62
■22年世界陸上:2位・88m13―5位・86m16
■23年世界陸上:1位・88m17―2位・87m82
2人の差は確実に狭まっている。実は自己記録ではナディームが上である。昨年の英連邦大会で90m18を投げ、昨年のダイヤモンドリーグ・ストックホルム大会で89m94を投げたチョプラに24cmだけ勝っている。だがアベレージでは、88m以上を10試合で投げたチョプラが、88m以上2試合のナディームを圧倒している。勝敗の行方が注目される2人である。
男子やり投にはブダペスト5位のK.K.イエナ(28、インド)も出場する。世界陸上ではD.P.マヌ(23、インド)も6位に入り、インド勢3人入賞、アジア勢4人入賞を果たした種目。男子やり投はアジアが世界の中心になった。シーズンベストが79m87なので優勝争いには加われそうにないが、アジア記録の91m36を持つ鄭兆村(29、台湾)もエントリーしている。アジアの役者が揃った大会になった。
男子走高跳もバルシムvs.ウのメダリスト対決
男子走高跳も、世界大会メダリストが3人も参戦する豪華メンバーになった。E.バルシム(32、カタール)は、10年以上も世界に君臨しているレジェンド的な存在の選手。オリンピックは12年銀、16年銀、そして21年東京五輪金とメダルを取り続けている。世界陸上は17、19、22年と3連勝し、今年8月のブダペスト大会でも銅メダルを獲得した。2m43の世界歴代2位、アジア記録を跳んだのは14年だが、2m36~41の記録を毎年跳び続けている。バルシムが普通の状態なら、2m35以上の記録で3度目の優勝を飾るだろう。
バルシムを破るとしたらウ・サンヒョク(27、韓国)以外にいない。昨年の世界陸上オレゴンは2m35で銀メダル。金メダルのバルシムは2m37だった。21年東京五輪もバルシムが2m37で金メダルだったのに対し、ウは2m35で4位。2cmの差が2人の明暗を分けた。
しかし昨年、今年とダイヤモンドリーグ・ドーハ大会ではウが勝っている。2人の初対決は14年アジア大会。バルシムが2m35で金メダルで、ウは2m10で10位だった。それから10シーズン目。2人の差は確実に縮まっている。
M.E.ガゼル(36、シリア)は17年世界陸上ロンドンの銅メダリスト。だが今季は2m17がシーズンベストで、世界陸上にも出場していなかった。優勝争いに加わるのは厳しいか。