「能登半島」の北部で確認された『謎の地殻変動』


そして去年、西村准教授は研究を進める中で衝撃的なデータを得た。大地震につながるかもしれない変化だった。

(京都大学・防災研究所 西村卓也准教授)
「25年間のGPSのデータの中では、なかなか前例のないようなことが起こっているのではないかと思います」

前例のないデータがもたらされた場所、それは「能登半島」だった。能登半島最北端に位置する石川県珠洲市。このあたりの地盤がおととし12月ごろから3cmほど隆起する「謎の地殻変動」を察知したという。

(京都大学・防災研究所 西村卓也准教授 去年11月)
「国土地理院のGPSの観測点で、おととしの12月からこの観測点を中心に変動が観測されていまして。だいたい3cmくらい、おととしの12月から去年の11月くらいまで隆起が観測されている場所です」


西村准教授によると「3cm」という地盤の動きは火山周辺ではみられるが、能登半島のような火山のない地域では、通常では考えられない数値だという。こうした動きに合わせるかのように、珠洲市周辺では去年1年間に群発地震が相次いでいる。震度1以上の有感地震がこれまでに80回近くも観測されているのだ。

(珠洲市の住人)
「かなり頻繁に起きていますよね。3日か4日、長いときは1か月くらいもっとあいているかな。結構こわいね、大きな地震が来ないといいなと思うんだけど」


地殻変動の原因などは分かっていないが、西村准教授らの研究グループはこうした動きをさらに詳細に探ろうと、地震の震源近くにある珠洲市の2か所に独自のGPSの機器を設置。大地震が起きないか、現在も注意深く調査を続けている。

(京都大学・防災研究所 西村卓也准教授)
「いま起こっている群発地震の震源域が大きく分けて4つに分かれているんですけれど、その中でも一番活動的な震源域がちょうど、この海岸線の東側の辺りにあって。ちょうどその間を周りを囲むように観測点を設置しています」