桐生のいる日本と、蘇のいない中国
男子4×100mリレーは日本の2連勝が期待できる。予選は1走から桐生祥秀(27、日本生命)、小池祐貴(28、住友電工)、上山紘輝(24、住友電工)、宇野勝翔󠄃(22、順大4年)のメンバーで2組1位。タイムは38秒99で、1組1位・中国の38秒62、1組2位・韓国の38秒75に続く3番目だった。だがバトンパスは、かなり安全度を優先した結果のタイムである。
個人種目では上山が200mで優勝。小池と桐生が100mで決勝進出を逃したのは不安材料だが、同学年コンビは何度もリレーを経験してきた。1走は久しぶりの桐生だが、大会前の取材では、バトンパスについて自信を見せていた。
「何走になるかわかりませんが、仕事はちゃんとやれる自信はあります。もう10年ぐらいリレーはやって来ていますから」
メダルの色は、最大のライバルである中国次第だが、今大会の中国は100mアジア記録(9秒83)保持者の蘇炳添(34)を欠く。中国は4×100mリレーで38秒10未満の記録を9回出しているが、その全てで蘇が走ってきた。
それに対し日本は、37秒70未満の4パフォーマンスは全て桐生が走っているが、桐生抜きでも何度も37秒台で走っている。リレーの底力では日本の方が一枚上と言っていい。油断は禁物だが、思い切り攻めたバトンパスをしなくても勝てるのではないか。
カザフスタン勢の不調で5000mは廣中優位
女子5000mには廣中璃梨佳(22、JP日本郵政グループ)と山本有真(23、積水化学)の同学年コンビがエントリーされた。陸上競技初日の10000mで銀メダルを取った廣中には、2個目のメダルの期待がかかる。
自己記録ではC.C.キプキルイ(29、カザフスタン)が14分27秒55、D.ジェプケメイ(27、カザフスタン)が14分45秒69で、廣中の14分52秒84を上回る。だが2人とも今年のシーズンベストは16分台と、明らかに状態が悪い。キプキルイは今大会の10000mで銅メダルだが、廣中から1分25秒も後れていた。B.E.レビトゥ(25、バーレーン)が今年7月に15分02秒22の自己新を出して好調だったが、今大会10000mは脱水症状で途中棄権した。
一番の強敵は、5月に15分10秒35のインド記録で走っているP.チャウドハリー(28、インド)かもしれない。7月のアジア選手権では山本に次いで2位、3000m障害は優勝した。世界陸上ブダペストでは3000m障害で11位に入っている。それでも廣中優位と言えるのではないか。世界陸上ブダペスト10000mで7位に入賞し、ラスト勝負に進境を示した。ハイペースの勝負にも、ラスト勝負にも持ち込める。