そして、刷り上がりから30分後。

配達員が購読家庭を一軒一軒まわり、夕刊を届けました。

配達を担当する松木真二(まつき・しんじ)さん:
「どんなお客さんだったのかなとか、(これまで)配ったことをいろいろと思い出しながら きょう最後だなとつくづく思った」

夕刊に49年にわたって連載されたのが、4コママンガの「ズクたん」です。

少年ズクたんと家族、犬の「ボケ」の日常をほのぼのと描いてきました。

作者は山ノ内町出身で長野市に住む西沢まもるさん、88歳。

夕刊が休止される前日の29日の金曜日、最終回の執筆です。

西沢まもるさん:「手が震えちゃいますね」

連載1万4205回目となった最終回は、犬の「ボケ」が雲になろうと大ジャンプ!
結局、地面に転げ落ちて我に返るというストーリーでした。

半世紀近い連載を終えた西沢さんを休刊翌日の10月1日に訪ねると…

西沢まもるさん:
「終わったって感じまだしないんですよ。いずれ来るんでしょうね」
「どたーっと疲れが出るか、元気が出るかわからないですけれど」

犬が大好きな西沢さん、最終回の内容は少し前から決めていました。

西沢まもるさん:
「一番『ボケ』が力が入ってましたんで」
「この犬は雲を見るのが好き。最後は雲にしたいなとは思ってたんですよ」

毎日、新聞に丹念に目を通したり散歩をしたりしてネタを探し続けた日々。

体力や視力の衰えもあり、夕刊の休止に合わせて連載を終えることにしました。

でも、「ズクたん」最終回の最後の一コマをよく見ると…。

西沢まもるさん:
「雲になったけれども落ちてきて、そうするとまたどこかで出るかもしれない」

これからは犬の「ボケ」を主人公にしたマンガを、自分のペースで書いてみたいという西沢さん。

ほのぼのとした作品を、またどこかで見られるかもしれません。