バレーボール女子のパリオリンピック予選、残り1枚の切符をかけた一戦で、火の鳥NIPPON(バレーボール女子日本代表)はフルセットの大熱戦の末、ブラジルに敗れた。歴史に残る激闘も、あと一歩及ばなかった現実。敗因を問われた日本代表の眞鍋政義監督は、一夜明けた25日も同じ言葉を口にする。
「勝ちたいではなく、絶対に勝つ、最後は勝利への執念が勝敗を分けた」
勝利は目の前まで来ていた。試合の流れをものにするチャンスは幾度も訪れた。しかし、そのたびにブラジルの勝利への執念が日本を上回った。セットカウント1対1で迎えた第3セット、日本は24対22とセットポイントを握る。このセットを取り切れば日本に大きく試合の流れが傾く場面。林琴奈選手のサーブがブラジルを襲う。決まったかに見えたがブラジルは執念でボールをつないだ。絶体絶命のピンチから1点を返すと、ブラジルのエース・ガビ(ガブリエラ・ギマラエス)選手が強烈な一撃。まさに鬼の形相でデュースに持ち込んだ。

対する日本は25対24と、もう一度訪れたこのセットを取り切るチャンスも、ものにできなかった。攻め込むサーブが打ち切れずに逆襲を許すと、そのまま3連続ポイントを許して、このセットを奪われた。
最後の勝敗を分けた第5セットもしかり、序盤のビハインドの展開から10対10に追いつくのが精一杯。勝負がかかった場面で一段とギアをあげたブラジルに対して、日本がアウトと判断して見送ったブラジルのサーブがぎりぎりライン上をかすめる。最後はブラジルの勢いを止めることができずに決着がついた。
ブラジルが見せた、追い込まれた場面で精度の高いサーブを打ち込む技術と集中力、サーブで仮に崩されたとしても絶妙のつなぎとそれを決めきる対応力と決定力、届きそうで届かなかったパリへの道は、技術はもちろん終盤での精神力の大切さを物語っていた。