カナダ国内で起きたシーク教指導者の殺害事件にインド政府が関与したとの疑惑をめぐり、両国の関係が悪化する中、インドの外相は26日、具体的な情報があれば前向きに調べることを検討する考えを示しました。

カナダのトルドー首相は、シーク教の指導者が6月西部ブリティッシュコロンビア州で射殺された事件をめぐって、インド政府の工作員の関与を指摘、両国が互いに外交官を追放するなどの事態に発展しています。

殺害された男性は、インドにおけるシーク教徒の独立運動を支援していた過激派組織の幹部とされ、インド当局が「テロリスト」に指定していました。

インドのジャイシャンカル外相は26日、訪問先のアメリカでこの問題に初めて言及しました。

インド ジャイシャンカル外相
「具体的で関連する情報を知らせてくれれば前向きに検討すると伝えました」

ジャイシャンカル氏は事件への政府の関与を否定するとともに、具体的情報が示されれば調査も検討する考えをうかがわせました。

ただ「カナダでは過激主義に関連した組織犯罪が横行しているにも関わらず、政治的な理由で黙認されている」と指摘しているほか、国連総会での演説では「テロリズムや過激主義への対応を政治的な都合で決めることは許されない」とも強調しています。

複数のインドメディアは、トルドー氏にはカナダ国内のシーク教のコミュニティから支持を得たい思惑があるとみられるとしたうえで、インド外相の発言はこうしたカナダ政府の姿勢を暗に批判したものだと報じています。