BYDはコスパ優秀だが…爆発的に売れるための課題とは?

小川キャスター:
ここからは、取材した片山デスクに聞きます。中国・BYDの「ドルフィン」に試乗していましたけれども、いかがでしたか乗り心地は?

経済デスク 片山薫記者:
私も中国車に乗るのは初めてだったので、かなり不安もあったんですけれども、意外と乗り心地がよくてですね。

EVはアクセルを踏むと、スッと加速するようなイメージがあるんですけれども、そのへんはガソリン車に合わせるような形で、やや滑らかに加速する。工夫されているなと思いましたし、やはりコスパはいいんだなというのを改めて感じました。

小川キャスター:
コスパですか?

経済デスク 片山薫記者:
はい。たとえば「リーフ」という日産の車が近いサイズなのですが、比べてみるとBYDのドルフィンのほうが40万円ぐらい安くて、その割に航続距離が長い

あとは安全装備が標準でついているというのも、やはりメリットだなと思いました。

小川キャスター:
こうしてみると魅力的に感じますけれども、どうでしょう?日本で売れるんでしょうか?

経済デスク 片山薫記者:
売れるかどうかは消費者次第というところはあるんですが、爆発的に売れるにはまだ課題があるなと感じています。

一つが販売店舗の数です。日産が2000店舗以上あるなか、BYDもかなり増やしていますけれども、まだ47店舗

アフターサービスも重要だと思いますが、そこをどこまで信頼してもらえるかというのは、これからの課題かなと。

さらに、充電設備自体があまりないなかでEVが爆発的に売れるというのは、なかなか大変だろうなと思っています。

ただ、調査会社のマークラインズのEV世界販売台数データ(2022年)では、日本のメーカーはかなりEVで出遅れています。今こういう状態のなかで、日本市場を攻めようというのがBYDの狙いかなと思います。

小川キャスター:
改めてみますと、かなり差を感じますけれども、なぜここまで日本は出遅れてしまったんでしょうか?

経済デスク 片山薫記者:
やはりハイブリッド技術が世界をリードしていたので、EVに舵を切るのがなかなか難しかった

それにエンジン車というのは、部品の数が多くて産業の裾野が広い分、切り捨てられなかった側面があるのではないかと思います。

小川キャスター:
では今後、この順位がガラッと変わっていくことはあり得るのか?日本メーカーの巻き返しというのは、どうご覧になりますか?

経済デスク 片山薫記者:
変わるかどうかはまだ数年後だと思うんですけれども、「ものすごい勢いで変えます」というのは、各社が打ち出しています。

実際トヨタは、2022年のEV販売が約2万4000台だったものを、3年後の2026年には150万台まで増やすとのこと。日産もホンダも、かなりEVの販売比率を引き上げるとしています。

これに加えて、映像を見ていただきたいのですが、工場の工夫というのもあります。通常はコンベアで車が流れてくるなか、トヨタが新しく公開した次世代のEVの生産ラインでは、組み立て中の車が自ら走っています。このほうがコストも時間もかからないという、新たなシステムです。

何とか海外勢に追いつこうというような試みをしており、ここでどれぐらいいい車ができるかというのが、あと数年で勝負になるかなと思います。

小川キャスター;
その間も海外勢もどんどん技術を高めていくわけで、熾烈な争いが…。

経済デスク 片山薫記者:
日本メーカーには頑張っていただきたいなと思っています。