観光都市ならではの課題「言語の壁」と「知識の差」

当時、同じく世界ジオパーク国際会議に出席するため、世界遺産に登録されているモロッコ・マラケシュの「旧市街」のホテルには、金沢大学の井出明教授が滞在していました。

井出明教授提供

金沢大学 井出明教授
「貧しい人たちが住んでいるエリアでは、ほとんど補強のないようなところは構造物が歪んでしまってドアが開けられない状態だったり、エアコンの室外機が落ちていたり、非常に悲惨な状態だった」

避難誘導の場面で外国人観光客が受け取る情報に「言語の壁」を感じたと言います。

金沢大学 井出明教授
「当局から情報がアラビア語とフランス語では与えられるが、英語では与えられないので、何をしていいかわからない。英語が話せるスタッフがいないホテルにいた人はかなり不安だったと思う」

さらに、地震に対する「知識の差」も避難誘導をより困難とする要因の一つとなっていました。

金沢大学 井出明教授
地震をはじめて経験する人は『逃げろ』と言われても概念がわからない。何から逃げればいいか分からない。いったい何のために走らされているのか、ゴールがどこにあるのか分からない中、暗闇を走らされているので、かなり不安だったと思う」

金沢大学 井出明教授

地震が頻発する日本と違って、地震がほとんどない地域の人にどのように避難を呼びかけるのか。この問題は同じ観光都市の「金沢」でも直面しうると強調します。

金沢大学 井出明教授
「最近金沢にも色々なところから観光客が来て、英語が通じない外国から来ているお客さんもそこそこいると思うので。どうやって情報を伝達して、不安を払しょくしてもらうのか、平時のうちから準備しておくべき」