阪神タイガースのリーグ優勝で、大阪道頓堀周辺は警察による厳戒態勢となりました。警察のスローガンは「ひとりも道頓堀にダイブさせるな」。それにしても、なぜ大阪人は大きなイベントがあると飛び込むのでしょう。話は1985年に遡ります。(アーカイブマネジメント部 疋田 智)
モノクロ時代の道頓堀はおしゃれです
人工の川「道頓堀(川)」ができたのは戦国時代から江戸期にかけて。
当時の新川奉行・安井道頓という人が着手したと言われています。そのときから昭和に至るまで数々の小説やドラマの舞台となりました。
TBSに残るモノクロフィルムを見ると、道頓堀と戎橋はオシャレなデートスポットとして描かれています。

それがダイブの名所(?)になってしまったのは、1985年阪神タイガースの優勝からでした。バース、掛布、岡田と、スーパースターを並べた当時のタイガースは、文字通り最強で、長年「ダメ虎」と呼ばれてきたタイガースは、生まれ変わったように破竹の快進撃を続けたのです。

でも、まだこの時点では誰も道頓堀には飛び込んでいません。
いったい誰が始めたのでしょう? これにはかなり有力な説があります。
実は「ジャイアンツファンが最初に飛び込んだ」というのです。
道頓堀に飛び込んだのは誰?
この人こそが最初に道頓堀にダイブしたという落語家の桂福若さんです。

85年当時の福若さんは、友人ととある賭けをしたそうです。プロ野球セントラルリーグの優勝はどこか。熱烈なる巨人ファンだった福若さんは、ジャイアンツに賭けました。
「じゃ、阪神が優勝したらどうするよ」
「阪神が優勝するわけおまへんがな、よしゃ、阪神が優勝したら道頓堀に飛び込んだる!」
ところが優勝。
そして、福若さんは友人たちとともに道頓堀に出向きます。