土地の取引価格の指標とするため毎年行われる「地価調査」の結果が19日公表され、県内の住宅地の地価は4.9%上昇したことが分かりました。10年連続の上昇です。

記者リポート
「今回の調査で最も住宅地価の上昇率が高かった、恩納村真栄田地区です。閑静な集落ですが、有名なリゾート地区に近いためか、去年に比べ、地価はおよそ3割も上昇しています」

県は住宅地や商業地を中心に、今年7月1日時点の県内284地点の地価調査の結果を公表しました。

県によりますと住宅地では前年の平均2.7%から上昇幅が拡大し、4.9%の上昇となりました。これで10年連続の上昇となり都道府県別でも全国で最も高い上昇率となっています。

住宅地の価格はなぜ上がりつづけているのか地価の上昇が与える影響について調査にあたった県地価調査分科会の仲本代表幹事に聞きました。

県地価調査分科会・仲本徹代表幹事
(Q:住宅地価上昇の主な要因とは)
「元々県民所得が低い、全国のなかでも。そういった中で低い持ち家比率、アパート住まいが多い中で、アパート2LDKで7万、8万を払っていた人たちが、低金利下の中で、総額が低い木造住宅を購入。買えなかった層が購入できるようになって、それが普及していった。住宅地の価格を底上げしている」

多くの県民になかなか手が届かなかったマイホームですが、近年安い木造住宅の需要が高まるにつれ、地価の上昇が続いています。仲本さんは、こうした地価上昇が与える影響にはメリットとデメリットがあると話します。

県地価調査分科会・仲本徹代表幹事
(Q地価上昇が県民に与えるメリットは)
「地価が上がることによって固定資産税が上がります。取引が活発化すると、その取引による不動産所得、所得税が入ります。税収のアップがありますと、市町村の福祉、公共サービスが向上する」

一方、メリットで挙げられた税収増などが、生活者目線ではデメリットになる場合もあります。

県地価調査分科会・仲本徹代表幹事
(Q地価上昇が県民に与えるデメリットは)
「地価が上がると、オーナーさんからすれば固定資産税、税金が上がるので、家賃を上げざるを得ない。家賃が上がり、そこの地元の人たちが払いきれない家賃水準なってしまうと、隣の市町村に行ったり、エリアに行ったりということになるのかなと」

良いことばかりではない地価の上昇。今後の見通しについては。

県地価調査分科会・仲本徹代表幹事
「現在の沖縄県の経済の情勢などを考慮した見通しという点で考えのであれば、引き続き上昇傾向は続くのかなと考えています」



今後の物価上昇や利上げ圧力が住宅需要を冷え込ませる可能性もあるものの、上昇傾向は続くとみられる県内の地価。

様々なものが値上がりする昨今、上昇が続く地価の動向も注視していく必要があります。

【解説】
良いことばかりではない、という説明でしたがこちらを見ていきましょう。

一般的なファミリー層の需要が高い2Kから2LDKの賃料、家賃の推移です。去年の平均賃料はコロナ禍前の2018年と比べると新築でおよそ1万1000円、中古でおよそ4000円上がっています。



建築資材や人件費の高騰もあり一概には言えませんが、地価と連動するように家賃が上昇し県民の懐を痛めていることがうかがえます。