輸出入ともマイナス続く。若年層失業率は実質30%超えか

貿易統計を見ると、8月の輸出はマイナス8.8%、輸入もマイナス7.3%と貿易がずっとマイナス続きだ。

――米中対立の影響で貿易が不振になっているということか。

東京財団政策研究所 柯隆氏:
だからこそ、習近平主席はニューデリーに行くべきだったのです。この統計の後ろにあるストーリーが何かというと、アメリカに制裁されてサプライチェーンが再編され、中国離れがどんどん進んでいるのです。なぜマイナスかというと、部品の輸入がマイナスになっているからです。次のレベルで完成品の輸出もマイナスになるわけで、負の循環です。

――失業率を見ると、若年層の失業率が非常に高く、7月末に公表しなくなった。

東京財団政策研究所 柯隆氏:
なぜ7月の統計を発表しなくなったかというと、中国の大学生の卒業は7月なのです。就職も7月で、実際の数字を加算すると、おそらく30%を超えているはずです。

――新卒が出るからぐっと数字が跳ねる。

東京財団政策研究所 柯隆氏:
そうです。それが怖くて発表しなくなったわけです。

――ゼロコロナ政策が終わったらV字型回復かという期待もあったが、以前柯隆氏はL字で底ばいだと言っていた。長く続きそうか。

東京財団政策研究所 柯隆氏:
今のL字の部分は、X軸に沿っていくのではなく、底割れする可能性が出てきたわけです。Lが下を向いていく。こういう段階は出血を止めるという意味で、思い切った金融政策、財政政策を取るべきなのです。李強首相になってからの政策はいずれも遅すぎて、小さすぎる。思い切った政策をとらないといけない。

――中国のGDPの内訳を見ると、2022年の時点で消費支出は3分の1以下だ。先進国では消費が大体3分の2で、アメリカは7割以上だ

東京財団政策研究所 柯隆氏:
この内訳は、まさに途上国の経済の構造です。中国は1人当たりのGDPが1万2000ドルを超えた中所得国です。投資を抑えて消費が最低でも5割を上回るようにしなければいけないのですが、この構造転換が遅れている。

――投資は不動産と公共投資が大きな割合を占めるので、これがいずれも駄目だ。輸出も駄目だとなると、成長のしようがない。

東京財団政策研究所 柯隆氏:
経済を牽引する三つのエンジンがいずれも弱くなっているわけです。消費を何とかしなければいけないのだけれども、失業率が上がっているものだから、なかなか自信が湧いてこない。この実態を李強首相はどこまでわかっているのかわかりません。

(BS-TBS『Bizスクエア』 9月9日放送より)