福島県内のテレビ局がコラボして、福島の食を紹介する「ふくしま食(しょく)リエーターFile」シーズン3。
TUFが注目したのは、磐梯町のハチミツです。このハチミツ、実は県内の品評会で去年1位に輝いたんです。「ハチがいなければ食物は育たない」。ある使命感を持ってハチミツを作り続ける、若手養蜂家の男性に迫ります。
井上和樹キャスター「磐梯山がきれいに見えますね。これからおいしいハチミツを求めて、実際にハチを育てている場所に行ってみたいと思います」

井上「こんにちは!きょうはよろしくお願いします。」
鈴木さん「磐梯養蜂場の鈴木友康と申します。あちらに実際に巣箱が置いてあるので案内します」
案内してくれたのは、磐梯町の養蜂家・鈴木友康さん(35)です。

鈴木さん「こちらが養蜂場です。」
井上「たしかに箱がたくさんありますね」
鈴木さん「だいたい30箱くらいあります」

鈴木さんが育てているセイヨウミツバチ、1つの巣箱にいるのはその数なんと1万匹です。

ハチミツの元となる花は、「アカシア」や「トチ」など5種類。鈴木さんの養蜂場では、磐梯町をはじめ、猪苗代町や西会津町などおよそ15か所で生産しています。去年、味や糖度などで評価する県内の品評会のアカシア部門で、1位にあたる農林水産大臣賞を受賞しました。
ハチが集めてくるミツは、花の種類によって味や香りが異なります。
井上「うわー、きれいな黄金色ですね!」

アカシアのミツは、華やかですっきりとしていて、クセがないのが特徴。また、トチのミツは甘味と酸味のバランスがとれています。
町の豊かな自然環境のもと、極上の味わいを生み出すセイヨウミツバチですが、1匹が一生で集めるミツは、わずかティースプーン1杯分だといいます。
鈴木さん「(1つの巣箱から)一斗缶の半分取れれば上出来。」
井上「思ったよりも少ないんですね」
鈴木さんは、そんな貴重なミツを集めるハチを1匹でも多く守るために、大切にしていることがあるといいます。
井上「襲ってこないんですね。このミツバチおとなしいんですか?」
鈴木さん「養蜂家によって扱いがある。ハチをつぶしながら作業をすると、どうしてもハチ(の気性を)を荒くさせてしまう。それは気を付けています。」

作業中は、刺されないように「厚手の手袋」を使うのが一般的ですが、鈴木さんは、ハチに触れる感覚までわかる「薄手の手袋」をつけて、ハチをつぶしたり傷つけたりしないように、丁寧に扱っています。
丹精込めて育てていますが、近年、ハチミツを生産するうえで大きな問題となっているのが、「温暖化」です。温暖化の影響で、ハチミツの元となる複数の花の開花の時期が重なってしまい、以前よりも多くのハチを確保しなければならないなど、取り巻く環境が厳しくなっているといいます。
さらに・・・。
鈴木さん「若い人がいなくて後継ぎがいない状態のところが多くて、会津の養蜂家だけ見ても後継者不足」
町にある養蜂場はいま、鈴木さんを含めて2軒。「ハチは危険」というこれまでのイメージも相まって、後継者に悩む養蜂家を見てきたといいます。それでも、ミツバチは果物や野菜の受粉でも、大きな役割を果たしている自然界で大切な存在。鈴木さんは、ハチミツのためだけでなく、いまある食物や環境を未来に引き継ぐために、養蜂家を続けていきたいと話します。
鈴木さん「ハチに刺されたら痛いし怖いイメージはあるが、扱い方次第ではハチはおとなしい。若い人に(養蜂家に)ぜひ興味を持ってもらって、後継者不足があるので、ハチの良さを広めていきたい」