「馬場さんの感情に火がついてしまった」

1月に合意した立憲と維新の共闘路線の維持は何故か5月に解消される。その後は一転、さながら罵り合いのような対立になっていった。

―――6月の党大会で維新・馬場代表「立憲民主党をまず叩き潰す」
―――これを受けて立憲・泉代表「あきれます。本当に品の無い下劣な発言…」
―――不信任決議案をめぐって維新・馬場代表「夏になれば盆踊り、会期末には不信任案。そういった慣例には協力しない…」
―――これを受けて立憲・泉代表「戦うことを忘れた野党。御用野党の本領が発揮された…」
―――ネット番組にて維新・馬場代表「立憲民主党がいても日本はよくならない」
―――これを受けて立憲・泉代表「そういうことを普通の党の幹部は言わない。危険な党代表をトップに据えてる…」
―――立憲との関係改善を問われた馬場代表「未来永劫無い。やるかやられるか」

馬場氏の姿勢はスタジオに生出演し、泉氏を隣に置いても変わらなかった。

日本維新の会 馬場伸幸 代表
「(立憲は)スキャンダルを追及する。揚げ足を取る。審議を妨害する、止める…。同じパターンの繰り返しで自民党から読まれてしまっていて、じゃあこう対処しましょうとなっている。それが戦う野党だと私は思わないし、日本の政治が良くなってるとは思わない…」

しかし、立憲民主党のスタイルは今に始まったものではない。今年1月に笑顔で協調を合意したにもかかわらず突如として対立構造となった。これには泉氏も戸惑ったようだ。

立憲民主党 泉健太 代表
「発言の応酬をみれば、僕からは発信してない。常に吹っ掛けられている。こちら側からディスると最近言いますが、そうしたことはない。政治というのはお互いをリスペクトしなければいけないし…(中略)主義主張は違ってもお互いを認め合う気持ちが無ければ外交も内政もできない」

突然の仲たがいは、どうやら維新側に遺恨がありそうだ。ジャーナリスト、後藤謙次氏はこう推察する。

ジャーナリスト 後藤謙次氏
「私の取材で維新の側から憲法と安全保障と原発について議論をしましょうと投げかけたが立憲から返事がなかった。ここから齟齬が始まって、決定打になったのは、実名を挙げると立憲の参議院議員、小西(洋之)さんの憲法審査会についての発言。『毎週開催は憲法のことなんか考えないサルがやることだ』、この発言はおそらく馬場代表は個人の感情として絶対許せないと思った。それは個人的なこと話して申し訳ないんですが馬場さんは中山太郎さんの秘書だった。日本の憲法理論をとことんリードした中山さんが作って、今の憲法審査会になった。この権威ある場所について何を言うかって…。私は馬場さんの感情に火がついてしまったのかと…」

中山太郎氏は今年3月に亡くなった。小西議員のいわゆる“サル発言”はその直後だった。
後藤氏が話している間、馬場氏は隣で終始目を伏せ、何度か小さく頷いているように見えた。
だが“感情”で野党共闘が崩壊したのだとすれば、あまりにも残念と言わざるを得ない。

「政治家は夢売ってなんぼの商売。夢に対する投資が票」

今後の野党共闘の可能性はないのだろうか…。
共産党との共闘を問われた泉代表は。

立憲民主党 泉健太 代表
「今、特定の政党とどうとかでなく、野党第一党としては、野党同士でどう力を合わせていけるのか最大限模索している。野党の議席を最大化することは、(自民党と対峙するうえでも)大事なことだと思う」

今、野党がすべきことを前出の“選挙の神様”に聞いた。

選挙・政治アドバイザー 久米晃 元自民党事務局長
「いま国民が持っている色んな問題点、不信、不安、不満ね、そういうものに対して政党としての回答を出すべきだと思う。例えば、地震の問題、エネルギーの問題、戦争…みんな不信、不安、不満を持ってる。それに対して何も答えが出てこない。それじゃなかなか国民の支持を得られない。(中略)政治家は夢売ってなんぼの商売。夢に対する投資が票ですから…そこができるかどうかじゃないですか。実績と展望…、夢を示さない限り選挙に勝てません」

(BS-TBS 『報道1930』9月6日放送より)