第71代イギリス首相マーガレット・サッチャーは言った。「民主主義にとって大切なことは健全な野党の存在だ」と…。日本にもかつては自民党と対峙し55年体制を作った日本社会党がいた。近くは自民党から政権を奪取した民主党があった。しかし今、与党を脅かすどころか政治に緊張感をもたらす野党は見当たらない。番組では野党第1党と第2党の代表をスタジオに招き野党の在り方を議論した。

「“カラスは白い”という人と“カラスは黒い”という人が一緒に政治をやってもいい結果は生まれない」
イギリス議会では保守党と労働党が激しく議論する。アメリカでは民主党と共和党が覇権を争う。日本では自民党と組んだ政党が大臣ポストをもらう図式が長く続いている。今は公明党が連立を組むが、国民民主党もそこに加わるかもしれない姿勢をうかがわせている。また野党第2党の日本維新の会も、場合によっては自民党と連立を組む可能性を否定しない。結局、自民党1強時代はいつまでも続くのか…。番組では選挙のプロに野党が台頭する術を聞いた。その人は長く自民党で選挙対策の指揮を執り、永田町で“選挙の神様”と呼ばれてきた。

選挙・政治アドバイザー 久米晃 元自民党事務局長
「今、岸田内閣の支持率が下がってるでしょ。内閣を支持する人は大雑把に3割で、支持しない人が5割いる。その5割を吸収する力。それが(今の野党に)見えないんですよ。それをどうやって吸収するかってことをもう少し知恵を絞った方がいい」
野党が自民党に勝つには共闘しなければならないと久米氏は言う。しかし、今の野党にとってこの“共闘”が難しい。日本維新の会代表は言う。

日本維新の会 馬場伸幸 代表
「選挙協力もそうですが、単純な数合わせをして横綱自民党と戦っても絶対に勝てない。“カラスは白い”という人と“カラスは黒い”という人が一緒に政治をやってもいい結果は生まれない。自民党は“カラスは白い”という人と“カラスはグレー”っていう人くらいの幅で一緒にいる」
ここで馬場氏が例えたカラスの色は左派と右派に置き換えられるだろう。野党の中でも保守色が強い日本維新の会。それに対し野党第1党の立憲民主党は幅はあるにしても共産党と選挙協力もできる党だ。この両党の“共闘”となると確かにハードルは高いだろう。
立憲民主党と日本維新の会に対する市井の人のイメージを聞いた…。
「立憲民主…賢い感じ…、緑な感じ…」(20代女性)
「力はあるんだろうけど自民にとって代わるカリスマ性が無い」(30代男性)
「泉代表ってなんかボスって感じがしない…」(60代男性)
「立憲…カリカリしてて…自民党がすること全てにとにかく文句つけてる感じ」(30代女性)
「立憲は政策が良くわからない…、もうちょっと国民に響くことおっしゃって…」(40代女性)
「維新は…ちょっと右翼っぽい。…現実的な感じもする」(60代男性)
「大阪維新の会は知ってるけど、日本維新は初めて聞いた…」(20代女性)
「有言実行感は維新の方があります」(30代女性)
やはり、人々の抱くイメージからも両党の隔たりは感じられた。しかし、20代男性から“選挙の神様”と同様の意見も出た。
「2番目3番目(の政党が)手を組むのも一つ。それが国のためになるのならいいんじゃないかって…」
カラスが白く見えても黒く見えても巨大自民党に緊張感をもたらすためにも共闘は手だ。実際、今年1月、両党は国会での共闘路線の維持で正式に合意。良い流れが出来つつあった。ところが…。
