生き物が相手だから責任感が芽生える
今回取材した全員「やりがいを感じている」と話していました。このうち、精神科に3か月入院したのちに作業に加わった水谷哲也さん(56歳)と中学生の時にうつ病を発症した井口智香さん(34歳)は次のように話します。

水谷哲也さん
「指導していただける先生がいるんですけど、先生に新しい仕事を“お前に任せる”と言ってもらえた時はすごく楽しいし、やりがいを感じてます」
井口智香さん
「生き物を相手にするので、間違ったことをすると死んでしまうので、“蜂が増えている”とか“元気だな”と思うとすごくやりがいを感じます。周りの皆さんも頑張っていらっしゃるので、迷惑をかけないように私も頑張ろうという思いで作業をしています」
清掃作業などであれば「体調が悪いから休みます」と言えますが、ミツバチはデリケートな生き物なので簡単に作業をやめる訳にもいきません。結果として、作業をする作業員に責任感が芽生えます。
障害者の変化は、しんじゅQualityの徳堂会長も肌で感じています。

「しんじゅQuality」徳堂泰作会長
「事業所に来た当時は、自分から人に話しかけることもなかったですし、目もしっかり合わせたりとかっていうのも難しかったんです。ただ、この作業をするようになり、仕事を任せてもらえたりとかということで自信を取り戻してきて、きちっと人に向き合って話すことが聞くこともできるようになったし、笑顔も増えました。我々としてはすごく嬉しい変化かなと捉えています」
蜂蜜は今回取材した四谷区民センターを含む区内7カ所で「新宿しQハニー」という名前で販売中です。詳しくは「しんじゅQuality」のホームページをご覧ください。
精神障害者への差別・偏見が依然として残る日本。こうした活動を広く知ってもらい、当事者への理解を深めて欲しいと思います。
(TBSラジオ「人権TODAY」担当:宮内悠也)