新宿区内の約30か所で身体、知的、精神などの障がいのある人が働く施設のネットワーク「しんじゅQuality」。こちらでは、障害者の就労機会を作り出すことや地域住民との交流などを目的に、2019年から養蜂事業を始めました。それぞれの福祉事業所が、障害の特性に合わせて養蜂や瓶詰め、ラベル貼りなど作業を分担しています。養蜂は区内3か所で行われているということで、今回、精神障害者が作業する「四谷区民センター」を取材しました。

1匹1匹を丁寧に観察

取材当日、4人の障害者が作業していたのは「内検」というもの。 これは蜂が冬を越すために必要な作業で、女王蜂がいるか、働き蜂が健康な状態かどうかを確認します。
養蜂は9Fにある屋外テラスには5つの巣箱があり、その中の1枚の板には数千匹のミツバチがいて、元気かどうかをじっくり見定めるという細かい作業を丁寧に行っていました。

対人恐怖を乗り越えて

丁寧な確認に加えて、全員がイキイキと作業する姿も印象的でした。ただ、こうした状況に至るまでにはハードルがあります。

「しんじゅQuality」徳堂泰作会長
「事業所に来ることが1つのハードルとしてあります。精神疾患になったきっかけが、対人関係のストレスという方が多くいます。対人恐怖がある方もいて、その怖さを乗り越えて“まず来る”というところがすごく大変です。皆さんとチームを作って一緒に仕事をしていく中で、人に慣れていくという中で障害になるきっかけになった“対人ストレス”であったりとか“人への恐怖心”が減り、人への信頼もまた改めて芽生えていく。一緒に苦労して1つのものを作り上げるそういった過程の中で、お互いへの気持ちが育まれてきているのかなと思いますね」