完璧ではないからこそ…

ロボンタの中身は修理が難しいほど壊れていた

そう聞くと、逆に、役に立たない「ロボンタ」が、いまも倉庫に保存されている理由がわからなくなり、再び代島さんに尋ねました。

<静岡科学館「る・く・る」の代島慶一事業担当長>
「40年以上前の貴重なロボットですし、『る・く・る』の持ち物というより、静岡市所有の財産として登録されているものなので、簡単に解体や処分はできないのです」

「『ロボット三要素』ってわかりますか?」

反対に代島さんに聞かれました。

<静岡科学館「る・く・る」の代島慶一事業担当長>
「情報を得るセンサーと、その情報で判断するコンピュータ、そして、アクチュエータと呼ばれる駆動部分がロボットに必要な三要素です。この要素がそれぞれ科学技術の基礎的な教材となるので、こどもたちに科学に触れてほしい施設では、ロボットが導入されたんでしょうね」
  
完成度の高いVR(バーチャルリアリティ)や、万能にも思えるAI(人工知能)が当たり前のように身近にある時代。でも、それらも、人間が作ったものだから、故障するかもしれないし、完璧ではないのだという大事な感覚を、倉庫で出会った昭和のロボット「ロボンタ」は、教えてくれているような気がしました。