ヘアトラップを設置する吉澤さんと山本牧さん/旭川市・7月

それぞれの地域に合ったクマ対策を

 旭川市はこの夏から、NPOにクマの調査や啓発を委託しています。
 島牧村の吉澤さんは、そのNPO職員になりました。

ヘアトラップに頭をこすりつけるクマ/北海道占冠村・2020年 酪農学園大学提供

 クマ対策の第一歩は、「地域のクマを知ること」。
 そのために、吉澤さんたちが、まず設置したのは「ヘアトラップ」です。
 地面に打ち付けた木に、鉄線をまきつけます。
 木に体をこすりつける、クマの習性を利用した調査で、体毛を採取し、生息するクマのDNAを調べます。

NPO法人もりねっと北海道代表 山本牧さん/旭川市・7月

NPO法人もりねっと北海道の代表、山本牧さんは「クマは年代・性別によって行動パターンが違うので、それがわかった上で、それに合わせた対策をする」と話します。

NPO法人もりねっと北海道で活動する吉澤さん/旭川市・7月

 島牧村がたどりついた対策が、人口や地形など条件が違う旭川市に、そのまま当てはめられるわけではありません。
 吉澤さんは「それぞれの地域が持ってる環境を、クマ対策に合わせて考えるとどうなるのか。地域、地域でやっていかなきゃいけない」と強調します。

島牧村に毎晩のように現れたクマ/2018年

 どんな暮らしを望むのか。
 そのために、どんなクマ対策がふさわしいのか。
 小さな村から生まれた問いは、北海道全体に向けられています。