自分を売り込むときに一番大事なもの

そして次に問題になるのが、3つ目の「HOW(どうやって)」。森岡曰く「『HOW』って何なのかというと、人々がその商品、ブランドを見た時の『見た目』のことです。リーダーシップに優れた人は、どういう風に見えるべきだと思いますか?それはたとえば『この人、人に信頼されそうだな』と見えること。すごく大事ですよね、人に信頼されることっていうのは」。

見た目は大切だ。過去には「人は見た目が9割」という書籍が大ヒットしたほどだ。たとえばリーダーシップに優れているように感じさせたいのであれば、自信にあふれ、タフな雰囲気、強いエネルギーを感じさせることは、強力な説得材料の一つになる。

そうなると“自分を売り込むこと”の成否は自信ありげな雰囲気や巧みな話術なのかと思われがちだが、森岡の考えは少し違う。「上手に話せなくていい、伝え方は努力目標でいいんです。『伝え方が大事だ』って言う方もいるじゃないですか。伝え方ももちろん大事なんですが、僕は中身の方が大事だと思っていて。『中身が10割』だと思っているんです」と、外見をそれらしく取り繕うよりも、売り込むべき自分自身を見つめることが大切だと説いた。

最強マーケター・森岡が考える「キャリアとは?」

授業の最後には、森岡がこれまでの仕事人生で出した“キャリアとは?”への答えを明かす場面もあった。「結局、『正しいかどうか』っていうことは他人が決めることじゃないんですよ。もちろん評価は他人がすることです。でも、『正しいかどうか』だけは自分の中にあるんです。なので、自分のモチベーションの源泉を他の人に握られないことが大事です。評価されたり評価されなかったりします、怒られたりもします。ただ、褒められたりもします。それを繰り返しながらどんどん新しい景色が見えてきて、気がついたら自分にできることが増えていって、その時に振り返って目にした道筋が“キャリア”なんだと思うんですよね」としみじみ。

そして、「社会はへこまされることが多いですけど、きっと進んだ先にはよりいろんなことができるようになった自分がいますので。頑張っていただきたいなと思っています」と、最後はエールで締めた。その時々で『正しい』と思えることを選んで進み、その結果ついた筋道がキャリアだと語った森岡。講義を終えたカリスマに、若者たちから熱い拍手が贈られた。


※この記事は、毎週日曜日の夜10時から放送している「日曜日の初耳学」の人気企画<熱血授業>6月12日放送回の内容をもとに再構成しました。