玉木氏「すぐに野党結集の選択肢はとらない」

一方の玉木氏は「やっぱり国民民主党を国民民主党として、大きくしていこうと。安易な合流とかですね、そういったものには頼らずにやっぱり覚悟を決めて2020年9月に作った政党ですから、そこはですね、心を一つに取り組んでいきたい」と主張する。
つまり、いますぐに野党結集という選択肢はとらないという。その理由について、「野党第1党、第2党の立憲、維新が70の選挙区で対決しているなかでは2大政党制は遠い、穏健な多党制による政権交代が現実的だ」と話す。そして、この構図のまま野党をまとめようとしても「反共産」ではなく、「半共産」のような人がどうしても残ってしまうと指摘する。玉木氏は前原氏と異なり、政策の実現のためには与党と協調することも辞さない政治姿勢を見せてきた。去年の当初予算案に賛成に回り、野党としては異例の対応をとったのは象徴的だった。与党への扉も開きながら、将来的に多党制の連立政権となるにしても、まずは国民民主党自体が公明党や共産党くらいの規模となり国政でのキープレイヤーとなることが必要なのだという。
与党、自民党の中には玉木代表ならば国民民主をうまく取り込み、野党分断をはかることができるとみるむきもある。野党の立憲は泉代表が「野党議席の最大化のために野党で連携したい」と衆院選での候補者調整を呼びかけ、維新の馬場代表は「我々の目指す方向とどちらが近いかと問われると前原さんだ」との立場をとる。
代表選挙としては党の路線そのものが問われ、対立軸がはっきりしていて興味深いのだが、選挙後にしこりが残らないかが懸念される。玉木、前原両候補とも選挙後は「ノーサイド」とし人事についても具体的には語ってはいない。前原氏に近い議員は「小さな政党で政策をメインテーマに代表選挙をしても有権者からどうせ実現できないのにと思われてしまう、そうであれば野党としてどう進むのかという路線で戦ったほうが注目を引くでしょう」とあくまで一つの選挙戦術だと強調する。
ただ一方で、「選挙結果によって与党へなびく動きが強まれば新たな動きはでてくるだろう」と党分裂の可能性も否定しない。芸能界に限らず「方向性の違い」を理由に解散するグループは多いのだが、はたして激しい路線対立を抱えながらもグループは維持されるのかそれとも、脱退するメンバーが出てくるのか。「実力派地下アイドルグループ」の行方が注目される。
MBS東京報道部 記者兼解説委員 大八木友之