連携・過疎対策もあわせた “資産の保存”
【平】こうした課題について各自治体はどのように考えているのでしょうか。

今月22日、長崎県内9市の市長が春日集落を視察に訪れました。
『かたりな』では、普段通りの説明とお茶の接待が行われました。
潜伏キリシタン関連遺産がある長崎市の鈴木史朗市長は、各資産が連携する必要性を感じたと話します。

鈴木 史朗 長崎市長:
「家庭そのものを再現するような施設を、観光客に開放してるということで、すごく参考になる取り組みだと思いました。
それぞれの地域の特色を生かして、こういう観光資源を内外に向けて発信しているということ、これをうまく、それぞれの観光地を繋いで連携しながら取り組んでいければと思っています」
一方、大石賢吾長崎県知事は──

大石 賢吾 長崎県知事:
「構成資産の地域ですけども、過疎化・高齢化が進んでいるということがあります。
今後“担い手”の減少によって“適切な保存が行われなくなる”という懸念があります。
今後はそういった課題も踏まえながら、関係者と連携を深めて活用をしっかり拡大していけるように検討して、可能な限りの努力を続けていきたいと思います」

【平】これまで見てきましたように構成資産を適切に保存し、担い手――『かたりな』の方たちがまさにそうですが――担い手を確保するということに加え、利用しやすい交通網の整備、多言語化対応を含む現地でのガイドや案内、国内外の人々に届く情報発信、それから長く滞在してもらうためには、地元の「食」を提供するということが重要だと思います。
それも各自治体や各観光協会などが市町という単位を超えて連携を取り、県内全体を盛り上げていくことが、潜伏キリシタン関連遺産の価値をさらに高めることになると思います。