国内の不満を海外に?不動産問題で中国経済が不安定

南波キャスター:
こうした中、反日のムードは加速もしています。
中国国内では、化粧品など日本製品の「ボイコット」を呼びかけています。そして北京市民も「もしずっと“汚染水”を排出し続けるなら全ての商品に“汚染水”のイメージがつく」と話しています。

また、上海の日本人学校で登校中の生徒などに大声で怒鳴る男がいたり、中国・山東省の日本人学校で石や卵が投げ込まれる事例も起きています。

中国にいる日本人の保護者
「なるべく日本語を喋らない形で通学するようにしている」

こうしたことが起きている背景についても阿古教授は分析しています。
東京大学大学院 阿古智子教授
「不動産の問題を筆頭に中国経済が不安定になっている。国内の不満を海外に向けようとしているのではないか

中国はGDPの約3割が不動産ですが、8月、不動産大手の「恒大集団」がアメリカで破産申請を行いました。▼住宅価格暴落、▼マンション建設も止まって購入したのに入居できないという人たちもいる。やはり中国政府の不満が市民も高まっているのではないかというわけです。

日比麻音子キャスター:
迷惑電話、迷惑行為などが過激化しています。メイさんはどのようにご覧になりますか。

ハロルド・ジョージ・メイさん:
中国政府がオーバーリアクションだと思いますよ。これほど処理水の安全性が国際的に証明されているにもかかわらず、科学的な根拠がないままここまで抗議するのはどうなのかなとまず思います。いたずら電話は大人げない。

逆に言うと、この件に関しては日本政府も頑張りましたね。国内だけではなく国際機関であるIAEAのお墨付きをもらったり、あるいはただ単に処理水を流すだけではなく、それを何か所か毎日のように検査をしてそれも公開することはすごいと思います。

でも逆に言うと中国も他人事ではないんですよね。中国も55基の原発を抱えてますし、あと22基が建設中なので、そこはどうなんだみたいな疑問もわいてきますよね。

「政治カード」として利用も誤算か 中国政府の思惑とは

日比キャスター:
中国政府がこの問題どのように見ているのか、北京支局の立山芽以子記者です。

立山 記者:
中国政府はこの問題を政治カードとして利用しようと、早い段階から日本に対する批判を繰り返してきました。しかし、気が付けば国際社会で批判しているのは中国と北朝鮮、ロシアだけという状況に陥っており、これは誤算だったようです。

また、中国政府としても、国民に対し処理水の危険性をさんざん煽ってしまった結果、塩の買いだめや魚の値上がりなど、国内にブーメランのように跳ね返ってきているのも予想外だったと思います。

日本政府関係者は「事態をコントロールできている部門がないため、何が起こるかわからない」として、今後、不測の事態が起こることを警戒しています。

日比キャスター:
中国の市民はどのように受け止めているのでしょうか?