スズメバチの攻撃は「偵察→威嚇→攻撃」 「カチカチ音」に注意!
日本昆虫学会の会員でスズメバチ研究者の中村雅雄さんに、特性について聞きました。
―――今年のスズメバチの傾向について、いかがですか?
「ハチの巣の数が多いんじゃなくて、春先が早かったので、巣がでっかくなって、それでいつもより早くハチの巣の脅威を感じているのではないかと思います」
―――巣が大きいとどんなことが考えられますか?
「働きバチの数が非常に多くなりますから、周りや何かに危害を加えそうになるような、そういう状況が生まれるわけです」
―――巣が大きければ大きいほど卵を産む面積が広がるということですか?
「巣が大きくなるっていうことは、幼虫の数を増やして、巣を大きくしていくということになると思います。ハチは春先に小さいところで巣を作るんですよ、地面とか。それである程度100匹ぐらいになったときに、移住するんですよね」
―――スズメバチの攻撃は、偵察→威嚇→攻撃という流れになっているということで、威嚇のときにカチカチという音を発するそうです。このカチカチという音が聞こえたら、もう危ないというふうに思った方がいいですか?
「もちろんそうです。ハチよっては連続的に刺す行動に入っていきますから。ただ、このカチカチ音は、後で『そういう音が聞こえたな』っていう感じですね。慣れてないとわからないと思います」
―――ハチは上下左右の動きは敏感に反応します。ただ、前後の動きはやや見えにくいということです。なので、静かに後ずさる、すっとかがんでゆっくり後ろにさがるというのが一番正しい行動と思っていいですか?
「はい。なぜかというと、ハチの顔をよく見ていただくとわかりますが、目がどちらかといえば上によく視線がきくんですよね。下がききにくいので、一旦しゃがむと、その敵を見失うということもあるんです」
―――ひらひらするもの・黒いもの・香水や化粧品の香りはハチが興奮するということで、手で払ったりほうきを振り回したりするなどもやめたほうがいいということです。一方、中村さんによりますと、木酢液やコパイバオイル配合の虫除けはハチの興奮を静める効果があるということです。
「実験でやってみたんですけれども、木酢液とか、肌に塗る薬の中には虫をよけるものがあるんですけど、特にスズメバチの興奮状態を違う方向に向けさせるという働きがあります。周りに来たときにスプレーで噴射する感じで。黒いものは、“一説によると”ですが、クマを連想させると。それで、黒いものに刺激されてくる、ターゲットにするわけです。そして、髪の毛にもやっぱり来るんですよ。白髪の人は大丈夫かっていうとそうじゃなくて、白髪の人も刺されることがありますので、髪の毛そのものも、向こうから見れば対象になります」