男子100m金メダルのノア・ライルズ(26、アメリカ)が200mで目指すのは自身の3連覇と15年世界陸上北京でのウサイン・ボルト(ジャマイカ)以来の2冠。そのライルズが21日に行われた男子100mメダルセレモニーではまさかの涙を流す姿を見せた。泣いた最速男にその胸中を聞いた。

泣いたのは初めて
Q.男子100mのメダルセレモニーは感動的でしたね
ノア・ライルズ:
私は泣くはずがないと思っていました。 頭の中でアメリカ国歌が渦巻いて、気が付いたら、涙が頬を伝っていたのです。まったく予想していませんでした。 国歌吹奏でこれまで泣いたことはありません。全てにおいて、初めての体験でした。 これは、この瞬間が僕にとって、どれほど大きな意味があったかを無意識に示しているのだと思います。 良い表情でメダルを受け取ろうとしたのですが、無意識に涙が出ていましたね。

世界記録更新を宣言
前回の世界陸上オレゴンでは大差をつけ、200m連覇を達成した。タイムは19秒31。ウサイン・ボルトの19秒19の世界記録までわずか0秒12である。当のボルトも「彼は俺の世界記録を超えるかもな」と、舌を巻いたほどだ。
Q.2冠を達成する自信は?
ライルズ:
とても自信がありますし、とても興奮しています。
すでに(100mを制して)速く走れたので、もう一度、スイッチを入れるだけです。
つまり、2冠への準備が整っているということです。
大会前、ライルズは自身の公式SNSで驚きのメッセージを発信している。
============
I will run
9.65
19.10
(私は9.65と19.10で走る)
============
今大会、男子100mでは9秒83で金メダルとなったが、200mを宣言通り19秒10で走ると世界記録更新となる。
Q.あなたのインスタグラムには「19.10で走る」と書いてあるが?
ライルズ:
楽しみにしていてください
厳しい家庭環境で育ち「母は私の支え」
類まれなるライルズの才能は厳しい家庭環境の中で育まれた。
「ゴキブリやネズミがいるようなアパートで暮らしていて生き延びるだけで精一杯だった」という。両親が離婚し、経済的に苦しい中、支えとなったのは母からの教えだった。
「チームワークを大切にすれば、多くのことを達成できると よく言われたよ」
家族を守るため、最速への夢を追い走り続けた少年は遂に世界陸上ブダペストで100mの頂点に立った。真っ先に報告したのは、母だった。
「母は私のお手本のような人。挫折している時は寄り添って話を聞いてくれます。母は私の支えです。」と話している。