落ち着いた“青×白”のペアも規制対象に?色の使用面積にも細かい制限

企業イメージは色だけではない。その形も大きなポイントになる。しかし景観調和は、場合によって形状にも影響を及ぼしており、青いラインが印象的なコンビニ大手ローソンも対応に追われた企業の一つだ。

ローソン 伏見表町店。規制により、勾配のついた切妻屋根となっている

ーーローソンのように青と白ベースの看板なら派手すぎることはないですが、新景観政策の影響があったそうですね?

ローソン 店舗建設部 マネジャー 西澤達雄さん
「看板に使っている色は、一般的なローソンと同じ青です。

ただ、京都市の規制により、看板に対する青の領域を20%以下に抑えなければなりませんでした。2023年4月にオープンしたばかりの『伏見表町店』(伏見区)では、我々が『ローソンライン』と呼んでいる青い線の幅を、通常より細くしています。

また、道路脇に設置するポール看板の高さは6メートルまでで、サイズも小さくする必要がありました。それに伴い、ローソンの青いミルク缶のロゴも縮小しています」

ーーなるほど…単に「青と白ならセーフ」という話ではなく、細かい制限があるのですね。

「そうです。一方、ガイドラインで指示されていたわけではないのに、色を自主的に変えたケースもあります。『祇園花見小路店』(東山区)の場合、白地の看板に黒で店名を表記し、京都らしいデザインにしました」

ーーえ?自主的にですか?

「はい。近隣の色合いと調和させたほうが一体感が生まれ、地域の方々に親しんでいただけるのではないかと、家主さんとも相談して実施した例ですね。

新景観政策の施行当時は約100店舗で改修工事を行いましたが、結局は町並みに合わせながら、いかにお客様に認知していただけるかというバランスを強く意識しているのが実情です」

ローソン 祇園花見小路店。建仁寺に続く祇園のメインストリートにある

話を聞く前は、各企業にとって、新景観政策はさぞ頭の痛い問題ではないかと予想していた。だが実際はネガティブに捉えるより、むしろ京都市への出店だからこそ可能なブランディングを模索しているのだろう。

筆者の暮らす東京では、街を歩けば鮮やかな看板たちが目に飛び込んでくる。これが東京らしさともいえそうだし、逆に特徴がないともいえそうだ。どんな景観を大切にし、京都市のように独自色を打ち出すかは、地域ごとにもっと違ってもいいのかもしれない。それぞれの意向に合わせ、各企業は思いのほか、柔軟な対応を検討してくれるはずだから。