たんの吸引など、医療的なケアが必要な子どもたちを支援する「医療的ケア児支援センター」の設置が全国で進んでいます。広島県でも7月、東広島市に「支援センター」がオープンしました。医療的ケア児と暮らす家族は、センターに何を望んでいるのでしょうか。
7月31日、東広島市の県立障害者リハビリテーションセンター1階にオープンした「医療的ケア児支援センター」。小児科医をセンター長に、専門知識を持つ3人のコーディネーターらが家族の悩みを聞き取る相談窓口です。

サービスに関する情報提供もしていて、医療・福祉・教育など幅広い分野で「医療的ケア児」と家族を支援します。
医療的ケア児支援センター 須藤哲史 センター長(小児科医)
「医療的ケア、気管切開・呼吸器で自宅に戻られた方が、家族ががんばって、なんとか生活しているというところもある。(支援に)つなげていければいい」

センターに期待を寄せる家族がいます。三次市の 市井佳世子 さんです。次女の りんか さんは気管切開をしていて、日中は15分から30分ごとにたんの吸引が必要です。水分や栄養は直接、胃に送り込む「胃ろう」から送り届けます。
市井さんは元看護師。いまは仕事をやめて、24時間つきっきりで介護をしています。

夫と4人の子どもたちと暮らす市井さん。りんかさんの妊娠・出産は順調で、障害があることは全く分からなかったといいます。生まれてから脳性まひと診断され、生後3か月で気管切開をしました。
市井佳世子 さん
「気管切開? えっ、どういうことって。生後3か月で気管切開するかどうか決めてっていわれたので、そのときは自分が医療的ケア児の親になるなんて分かってなくて。とにかく、この子を助けたいという思いだけだった」