「あの頃に似てる」被爆者が恐れる“当時の空気”の再来

95年、国際司法裁判所で広島、長崎両市長が、「核兵器使用は国際法に違反する」と証言したが、国は、その陳述の前に、こうくぎを刺した。
元平和記念資料館館長 原田浩さん
「いまから長崎と広島の市長が意見陳述するけれども、必ずしも日本政府の見解とは違うと言い切りました」
原田さんは、広島サミットに同じ風景をみる。G7の首脳が被爆地で犠牲者を慰霊する一方で、核による抑止を正当化したのだ。

原田浩さん
「中身の問題からしたら、どう考えても広島とは相容れない状態。しかも、ウクライナの大統領がやって来て、広島で戦闘機の供与を決めて帰るということ、私どもからしたら唖然として、言いようがないです」
切明さんは戦争へ向かっていく当時の空気の再来を恐れている。

切明千枝子さん
「怒涛のように押し寄せて来る。抗うことがちょっとやそっとでは出来ません。波に飲み込まれてさらわれていくという感じ。恐ろしいなと思っていた。最近あの頃に似てるんじゃないのっていう気がしますよ。自衛隊の軍備費が増大される。攻めて行けるようにするんだなんていう声も聞こえてくる。岸田さんは広島のご出身なんだから、もっと平和を大事に考えて下さればいいんだけど」
『はだしのゲン』作者の墓石に刻まれた言葉
広島市と瀬戸内海を一望する丘陵地。ここに、『はだしのゲン』の作者・中沢啓治さんは眠っている。
中沢さんの妻・ミサヨさん
「原爆を受けた時、多くの方が亡くなったでしょ。その線香のにおいがよみがえってくるらしくて、線香のにおい嫌いなんだって。広島の瀬戸内海に撒いてくれって。それに逆らっちゃったけどね」
そして、その墓石には、こう刻まれた。
「人生にとって最高の宝は平和です」














