クギが大量に打ち込まれたワケ
記者は入社2年目。大阪の甲子園出場校としてその名が知られる高校の野球部出身。子どもの頃から野球をしてきた中で、今回のように地面にクギが打ち込まれ、目印が露出している風景は当たり前として過ごしていた。
(記者)「おじさんたちが楽しむ草野球や中学野球やリトルリーグなどでは、塁間の距離や、ピッチャーズマウンドからキャッチャーとの間の距離も違います。それで、ベースを置く目印としてクギを地面にさして、その先につけたビニールひもなどの目印が、ガイドとなるわけです。でも、時間が経つとグラウンドから飛び出したひもが劣化してわからなくなることも。すると、改めてグラウンドにクギが打ち込まれます。
西尾市の98本が見つかったという報告も、そう驚きません。新たに打ち込む際に、元々打ち込まれていたクギが見つかったとしても、引き抜いて持ち帰ることはされません。この繰り返しで、クギは長い年月を経て徐々に増えていきます。そのためベース周辺には、ある程度の範囲にまとまってクギが集中して地中に残されているはずです」
“おっさんデスク”の私も、グラウンドに目印のひもが出ている風景は脳裏に刻まれている。小学校のグラウンドでもそうだった。トラック競技のラインを引くために教師が打ち込んでいたのを確かに見た。

98本のクギが見つかったことについて、西尾市のスポーツ振興課は改めてこうコメントした。
「事故が起きた施設以外も速やかに調査するべきだった。遅かったと認識している。今年度中に市が管理する残る16のグラウンドを金属探知機で調査する方針」としている。

多くの疑問が浮かぶ。
ことし4月に小学生がクギで10針を縫うけがをした際に、西尾市はなぜほかのグラウンドを調査しなかったのか?
98本が見つかって、なぜ「すぐに他のグラウンドも調べる」ことにならないのか?
そして、打ち込んだ公園のクギはどうすべきなのか?
グラウンドを管理する西尾市は、「クギを引き抜いて戻して」という強い要請はしていない。使う側にとっては、深く打ち込んだクギに結ばれたヒモを目印としておけば、次の利用時にも使えて便利だから、わざわざ抜かないのだ。
しかし、小学生が10針を縫うけがをした。ひょっとすると、日本中のグラウンドに多くのクギが眠っていて、今回のように牙をむくことがないとも限らない。

愛知県の大村知事は7日、県が管理する公園についても早急に調査する考えを示した。また、県は各市町村にも注意喚起を行う方針だ。
今回のことを教訓として、公園管理責任者は点検に乗り出していただきたい。