なぜ岡山の38歳男性が島根・安来の「どじょうすくい踊り」を?
「どじょうすくい踊り」と言えば、民謡の「安来節」にあわせて踊る島根の伝統芸能ですが、「どじょうすくい踊り」を極めようと、20年以上前から踊り続けている男性が岡山にいます。
いったい何のために踊っているのでしょうか。密着しました。

河川敷で、音楽に合わせ表情や体を大きく動かす1人の男性。岡山市に住む38歳の中本侑希さんです。
(中本侑希さん)
「だれかに焦点を絞って、その人を見ている感じにして『見てよ!』みたいな感じで踊っています。河川敷では初めて出会う方ばかりで、同じことばかり聞かれますね。『それ阿波踊り?』『いや、どじょうすくいです』と」

「どじょうすくい踊り」に魅せられて18年。趣味と言いながら、雨の日でも練習を欠かしません。

ー動きでいえば、何が難しいですか?
(中本侑希さん)
「ここですね(【画像】に絶妙な腰つき)。最初に出るときの動き。前をしっかり見て、1・2・3・4・5・6」

島根県の代表的な民謡「安来節」に合わせて踊る「どじょうすくい踊り」。
昔、安来の若者が、川から取ってきたどじょうをあてに酒を飲み、その際にどじょうをすくうときの動きを面白おかしく踊って楽しんだことが由来、と言われています。明治~大正時代にかけて全国的に人気を集めるようになりました。
(中本侑希さん)
「ぼくのお母さんが昔、どじょうすくいをして(【画像】はどじょうすくい踊りを踊る母・幸美さんのビフォア・アフター)、『ああ、こういう技でこういう踊りがあるんだ』って興味を持つようになって、自分も覚えたいと」


20歳で始めたどじょうすくい踊り 「割りばし刺してニー」じゃない奥深き世界
きっかけは母の幸美さんでした。20歳の頃に遊びで見よう見まねで始め、気が付けば、どっぷりと「どじょうすくい踊り」にはまっていました。
(中本侑希さん)
「最初はただ割りばしを刺して『にー』って笑っておけばいいだけなのかなと思っていたんですけど、すごく奥深くて。動きや表情や場の空気を読んだりとか、そういう力を身に付けると、もっと多くの人が喜んでくれると思って」

本場・安来の講師のもとに通い始めた中本さん。「リズミカルな腰づかいや目線一つ、細かい表情もくすっと笑える」…。習ううち、他の伝統芸能にはない魅力を感じ、さらに引き込まれたといいます。