今国会でまもなく成立予定の法案に「AV被害対策法案」があります。法案が成立すれば救われる人がいるという声がある一方で、懸念の声もあがっています。これまで法律上はグレーだった撮影時の性交を合法化することになるというのです。親から虐待を受け、18歳のときAV被害にあった女性は、性的な搾取が行われる社会の構造に目を向けてほしいと訴えます。

■AV被害に遭った女性に残る恐怖

モデルの仕事などと言葉巧みに誘われたり、金銭的な理由からAVの撮影に応じたものの、事後に取り消すことができないAV被害。

18歳の時、被害にあった女性は、歓楽街で中年の男性から声をかけられたことがきっかけだったといいます。

AV被害に遭った女性(20代)
「女の子が裸になっているような写真を何枚も見せられて、『5000円でどう』っていう風に『動画を撮らせてくれたら2万円あげるよ』と」

2万円はネットカフェに1週間以上泊まれる金額。女性は性行為の撮影に応じました。

AV被害に遭った女性
「20歳には死にたいと思ってたので、どうせこの世界でしか生きられない。どうせ死ぬならまあいいかなって思ってました」

父親から暴力を受け、15歳の時、児童福祉施設に保護されました。18歳で施設を出ざるを得ず、体と引き替えに住む場所をくれる大人がいる歓楽街を選ぶしかなかったといいます。

ネットで販売されたという自分の動画が今も誰かに見られているのではないか。女性は恐怖を感じています。

AV被害に遭った女性
「後悔というか抗えない力に無力感を感じて、電車に乗った時とか隣で風俗の女の子のプロフィール見ているおじさんとかを見ると、この人、もしかしたら私の画像を見ているかもしれないと思うと、本当に電車だったら駅に降りたいみたいな感覚」