世界最高齢でのヨットによる「太平洋単独無寄港横断」を達成した海洋冒険家の堀江謙一さん83歳。その偉業を振り返ります。
帰港セレモニーでは大勢の人たちが祝福

堀江さんのゴールから一夜明けた6月5日、兵庫県の新西宮ヨットハーバーで帰港セレモニーが行われました。港には偉業達成を祝福しようと大勢の人たちが訪れました。
(セレモニーを見にきた人)
「同じ年代の人があんなにも頑張っている。ものすごく応援しています。私たちも負けないように頑張らないと」

多くの人に出迎えられる中、日焼けした堀江さんが短パン姿でヨットから降り、第1歩を踏みました。
(海洋冒険家 堀江謙一さん)
「お待たせしました。この航海によって精神と肉体の完全燃焼を成し遂げたと、そう確信しております」
ワイルドな83歳 出航早々に嵐…終盤の黒潮大蛇行にも負けず


この冒険の様子は、毎日、衛星電話で京都に住む友人の堀江治夫さんに伝え、ホームページで公開してきました。その航海日誌をだどると…。
【堀江謙一さんの航海日誌より】
「3月27日(曇り時々雨)。出航早々嵐の洗礼を受けています。キツイ。じっと耐えるのみです」
実は、出航からわずか15時間で嵐に見舞われていました。

ヨットは全長6mほどの小さなもの。船内のあらゆる隙間に食料などをぎっしり詰め込み、嵐の時もここで冒険を続けていました。
【堀江謙一さんの航海日誌より】
「4月12日(快晴)。昨日の夕食はカレーライスでした。ノンアルコールビールも2本目。いい気分になり、ついウトウト。波が小さくなった間の楽園でした」

4月中旬にはハワイ沖を通過。この時、ヨットに乗せていた小型カメラが網を使って回収されました。そこに映っていたのは、波で左右に大きく揺れるヨット。冒険を記録した貴重な映像です。

MBSの大吉洋平アナウンサーは4月、電話で堀江さんに航海の様子について取材していました。
(大吉アナ)「船酔いすることはありませんか?」
(堀江さん)「最初の1週間でそれは終わってましたね。だんだんとヨットに慣れてきまして、食欲も出てきまして」
(大吉アナ)「体はどのようにして清潔に保っていますか?」
(堀江さん)「清潔なことは全然ないと思いますが、海水で体を洗うことはできますので、海が静かになればデッキに出て、海水を使いシャンプーしたいなと思っています」

そのシャンプーの様子を撮影した映像では、頭をゴシゴシと洗ったあと、くみ上げた海水を豪快に浴びます。ワイルドな姿はとても83歳にはみえません。

小型ヨットで大海原を渡るのは順調な時ばかりではありません。終盤は、悪天候や黒潮の大蛇行に悩まされていました。
【堀江謙一さんの航海日誌より】
「5月23日(晴)。ヨットは右へ行っても左へ行ってもバックする始末。寝ずに頑張ったのですがダメでした」
黒潮との闘いは3日間に渡りました。