「歴史的なこと」「核抑止論を正当化」評価分かれる広島サミット

5月のG7広島サミットで示された「広島ビジョン」については、委員の中で評価が分かれました。

「広島ビジョン」は、G7としては初となる核軍縮に焦点を当てた共同文書で、ロシアの核兵器による威嚇や中国の核軍拡を批判しています。

一方で、G7各国については防衛目的で核兵器を持つ「核抑止」を肯定し、核軍縮に向けた具体的な内容は示されませんでした。

長崎原爆被災者協議会会長 田中 重光委員:
「核抑止論がですね、正当化されて、核廃絶っていうのは究極の彼方に送られてしまったと。評価しないというのが私たち被爆者の考えです」

長崎大学核兵器廃絶研究センター長 吉田 文彦委員:
「(広島ビジョンは)とても歴史的なことだと基本的には思っています。言うべきことはきちんと言うべきと思いますが、ただ評価は何もしないとかね、こうなってるから、これが入ってないからゼロだ、みたいなのはどうかなと」

長崎大学核兵器廃絶研究センターの中村桂子准教授は、広島サミットについて、G7の枠組みで核問題を考える限界が見えた一方、サミットに関連した市民イベントでは突破口のヒントも見えたと言います。

中村 桂子准教授:
「“環境問題”をやっている市民社会の団体の人たちや、また“ジェンダー”の問題に関わっている人たちとか、世界が向き合ってる問題の一つとして“核問題”もみんなでやっていこう、考えていこう、根っこはつながってるよね、みたいな、そうした議論がすごく出てきたことが、私は印象的だったんです。
一緒に声をあげていくこともできるんだ。これまで、そこで大きな声を一緒にあげてこなかった人たちが、日本の中でも声をあげていくことによって、私は大きく変わる一つのきっかけもあるんじゃないかなと」