小学校の校庭に保存されていた1946年生まれの“貴婦人”

蒸気機関車C57-180号機は大きな動輪と細いボイラーが特徴で、優美に見えるその姿から“貴婦人”という愛称で親しまれています。

新潟市立新津第一小学校に静態保存されていたC57-180号機

戦後の1946年(昭和21年)に製造され、新潟を中心に秋田や会津若松まで駆け抜けてきました。そして引退後はこの磐越西線のすぐ脇にある新津第一小学校に静態保存されることになりました。

1969年(昭和44年)、安住の地となる小学校の校庭まで“専用の”線路を敷き、最後は自走して保存場所までやってきたのです。

当時、このSL『C57-180』がやってくるのを、多くの人が待ちわびていたということです。

「鉄道の街・新津のシンボルに」

新津は古くから“鉄道の街”と言われてきました。新津駅は羽越線・磐越西線・信越線が行き交い、かつてはC57をはじめ多くのSLも走る交通の要衝でした。特急列車が停車する新津駅はにぎわいを見せていたほか、鉄道の車両工場があることからも“鉄道の街”を後押ししていました。

しかし時代は流れ、上越新幹線の開業で新津駅に停車する特急も少なくなり、自動車の普及とともに“鉄道の街”のイメージも過去のものとなりかけていました。

1999年4月に復活した“SLばんえつ物語”

こうした中「鉄道の街のシンボルとして復活させてほしい」という地元の住民などを中心とした声を受けてJRがよみがえらせ、1999年4月に「SLばんえつ物語(当時は『SLばんえつ物語号』」として“復活”したのです。

現在、同じ形のSL・C57が走っているのはJR西日本の「SLやまぐち号」とこの「SLばんえつ物語」の2つのみだということです。