政府は来年秋に今の保険証を廃止し、マイナンバーカードと一体化させる方針ですが、相次ぐトラブルに自民党内からも「延期もやむなし」との意見が上がっています。一方、医療現場では、マイナ保険証導入にかかる経済負担の重さから閉院を決断する医療機関も出ています。80歳の医師が閉院の決断に至った思いは。

マイナ保険証の導入費用が重く…医院の廃業が増加中

満川医院 満川博美院長
「患者さんたちには皆さんに申し上げて、『もう2024年9月までです』ということにしました」

80歳の医師・満川博美さんが一人で切り盛りする、栃木県の小さな医院。2024年の秋で閉院します。

決断の理由は、保険証。マイナンバーカードとの一体化が、閉院を決断させました。

満川医院 満川博美院長
「色んなネットワークですね。多分費用がかかるし、あと契約料みたいな、メンテナンス料みたいなものは月々かかっていくわけですから、こういう小さなところではとても払い続けられない」

インターネット回線やカード読み取り機などの整備には国の補助金も一部適用されますが、メンテナンス料など、毎月の費用が経営に重くのしかかるといいます。

地域でも貴重な漢方専門医で、患者は近隣の市や町からも訪れます。

満川医院 満川博美院長
「2024年の9月に閉院になります」

この日、閉院を伝えられた患者は…

患者
「そりゃおかしいですよ、(政府の)やってることがね」

満川院長
「こうやって細々とやってるとこでも、(患者さんの病気が)よくなっていく場合もありますので」

患者
「社会に貢献したりさ、そういうことをやってる人がさ、資金がないからさ、こうなるんだとかさ、それは絶対あっちゃいけないことですよ」

満川院長
「もう数年はこうやって続けられると思ってましたから。いつかはやめる時期は来ますけれど、政府から強制されてやめるのはおかしいというか、嫌ですね」

今、こうした病院が増えていると訴える団体も。

全国保険医団体連合会 竹田智雄副会長
「昨年末から徐々に、廃業閉院の届けがでてきています。ちょっとずつ多くなってきました。本当に心配しているところです。高齢者の先生方ばかりかと思うと、意外と50代60代の先生方がおられます」